EUセンターから

2023年

11月

09日

バタンとドアが閉まったその瞬間にドキリ…

ドイツのドアは大抵、外側にはドアノブがなかったり、ドアノブがあっても回らなかったり、一度閉まると、オートロックのように外側からは鍵が無いと開けられません。オートロックのイメージに合わない古い建物でも、扉は鍵がなければ外からは開かないようにできています。

 

何年もドイツに住んでいれば、ドアが閉まる音がした途端に「鍵は持っていたっけ?!」とヒヤッとしたり、何時間も締め出されたりした人の話を聞くことはあるはずです。そのため、用心深い人の多くは隣人に鍵を預けていたり、自分や家族だけが分かるところにスペアキーを隠していたりします。しかし、一人暮らしを始めたばかりの人で、そのような知恵を伝授されることもなかった人は、まま締め出されてしまうことがあるのです。

 

携帯も財布も家の中にあるような場合、一体どうするのか…。まずは隣人などに頼んで緊急鍵業者を探すのを手伝ってもらったりします。ドイツ人は全般的に自らが共感できる事態に直面した時に親切なので、恐らくは親身になって助けてくれます。冬場であれば鍵業者がやってくる間、寒い廊下で待つことになるかもしれませんが、「まずはお茶でも飲みながら待ちましょうよ」とお隣さんが椅子をすすめてくれることも考えれます。

 

一方、鍵業者は、場所や人によって相場は変わるものの、例えばバーデン=ヴュルテンベルク州では、日中の営業日には平均80.84ユーロ(約12600円)、夜間と日曜・祝日には148.93ユーロ(約23500円)です。自宅から締め出されただけでも十分惨めなのに、費用も結構かかります。

一方、運よく携帯が手元にあるのであれば、まずは鍵のタイプを確認し、クレジットカードや針金で開けられないかをネットで検索してみましょう。携帯とネットが普及した今の時代だからこそ可能な技です。すると、古いタイプの扉は意外に簡単に開けられたりすることが分かります。先日締め出されて焦った日本人の学生さんから電話がかかってきたので、開け方を調べてYou Tube動画をお送りしたら、無事に自力で開錠できて、飛び上がらんばかりに喜んでいました。「今度は鍵を隠しておきます!」と言うのを聞きながら、良い時代でもあり怖い時代でもあると思いました。

(Y・A)

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2023年

10月

26日

国内公共交通機関が無料?!幸福度も高いルクセンブルク

ルクセンブルクの訪問はほぼ10年ぶり。ホテルに移動しようと中央駅でバスの券売機を探せど、中々見つかりません。ルクセンブルク語はドイツ語に似ており、その他フランス語、ドイツ語が公用語。英語も幼い頃から習うので、どこでも問題なく言葉が通じます。

そこで周囲の人に聞いてみると「国内の公共交通機関はお金かからないから、そのまま乗っていきなよ」との答え。驚いてネットで調べてみると、確かに2020年からルクセンブルク国内の公共交通機関は無料になっていました。交通渋滞を避けるというのが最重要課題としてあったようです。

ルクセンブルクはドイツ・ベルギー・フランスと国境を接し、面積は神奈川県と同じくらい、人口は約64万人です。小さな国なので当然ですが、国全体としてのGDPは世界ランキングで72位。一方、他国からルクセンブルクに来て働く人(越境労働者)が多いこともあって、一人あたりのGDPは世界一で、平均月収90万前後となっています。

家賃はとても高いですが、物価はドイツと比べても少し高めという程度。ガソリン・コーヒー・タバコにかかる関税が低いため、これらは周辺諸国より明らかに安値です(2023年11月時点のドイツと比べるとガソリンは約20%安い印象)。

最大17%という低い法人税率でタックスヘイブン(租税回避地)として知られ、金融に傾いた産業を変えようと、国際企業を積極的に誘致してきました。中央駅は明るく、中心街は10年前と比べてもより賑やかになり、小さな国であるがゆえに市民生活に国の豊かさが反映されている印象を受けはます。

一方、お金持ちが常に幸せである訳ではないように、豊かさはGDPだけでは測れません。しかし、国連が設立した非営利団体(SDSN)によるGDPその他の指標で測る幸福度を見ると、そこでもルクセンブルクは第6位。上位は北欧を中心に欧州が占めており、その理由はワークライフバランスが良好であることや教育や医療の無償提供が影響しているそうです。

いずれにしても、ルクセンブルクでは公共交通無料化によって人々の生活の自由度が上がり、それが幸福度も上げる一因になっているだろうなと思いました。

Y・A

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2023年

10月

05日

きらきらアイシャドーは禁止?EU内マイクロプラスチックを制限する規制強化

「光沢のあるアイシャドーは買えなくなっちゃうらしいよ!」ドイツの中高女子たちの間でここ数日話題になっているのがマイクロプラスチックを制限するEUの法律です。

 

まもなく発効するとあって、買い急ぎをする人、マイクロプラスチックの不使用を宣伝するメーカーと、EU内で採択されたら、世間はあっという間に対応していく印象を受けます。プラスチックのストローが市場から消えていった時にも似ています。

欧州委員会は、製品に意図的に添加されたマイクロプラスチックを制限する措置を採択しました。これにより約50万トンのマイクロプラスチックの放出を防げるとされています。新規則により、マイクロプラスチックそのものや、マイクロプラスチックが意図的に添加された製品などの販売は禁止されます。正当な理由があれば、新規則に対応するために免除・移行期間が設けられますが、原則として禁止です。

 

マイクロプラスチックの定義は広く、有機性・不溶性・分解抵抗性で5ミリメートル未満のすべての合成ポリマー粒子が対象となっています。それには、例えば人工芝に使用される粒状の充填剤、化粧品や角質除去剤(マイクロビーズ)で使われている特定の質感や香り、色を得るためのマイクロプラスチックがあげられます。これまでは、表示が不明確な場合も多々ありました。今後は明確な表示が義務付けられるので、消費者は迷わずにすみます。

 

EU内の若い世代は、シャンプーの容器を避けるために髪用石鹸などを使い、容器もリユースできるものを持参したり、意識は極めて高いです。ただ、これが世界に発信され、浸透していくまでにどれくらいの時間がかかるのか…。

いずれにしても、到達するために始めたという事実は大きな一歩です。環境の専門家の1人が「現在は、自宅が火事になっているのに普通に暮らし、アラームがうるさいと思っている状況です」と言っていたのが印象的でした。

https://eumag.jp/questions/f0619/

(Y・A)

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2023年

9月

08日

黒と緑のオリーブ、種類は違うの…?

塩漬けオリーブは黒の方がマイルドで食べやすい印象ですが、色で種類が違うわけではありません。成熟度に応じて実の色が緑から赤茶色、紫、黒へと変化して、味も栄養価も変わっていきます。黒の塩漬けオリーブには、あえて着色したものもあります。古代ギリシャの詩人ホメロスが「金の液」と呼んだオイルが抽出されるオリーブ。その種類は2000に及ぶとも言われます。今回旅をしているクロアチアは生産国としては規模が小さく、生産量で上位に入ることはありませんが、イタリアと国境を接するイストゥラ半島をはじめ、いたるところでオリーブとワイン用のぶどうが作られています。その多くが家族経営の小さな農家です。オリーブの収穫期はクロアチアの場合は10月初めから11月半ば。早めに収穫すると抽出できるオイルの量は少なくなるものの、黄緑色のオリーブの栄養価は黒く熟したものより高く、収穫後は酸化や発酵を避けてできるだけ早く処理します。適度な温度で潰して粘土状になったものを圧搾すると油と苦味のある水分が出てきて、上澄みにあたるのがオリーブオイルです。木や種類によって大きく異なるものの、6~7キロのオリーブから約1リットルのオリーブオイルが抽出されます。1本のオリーブの木は年間平均15〜50キロのオリーブをつけるとのこと。樹齢1000年にもなるオリーブの木ですが、この地方のあらゆるところに植えられているだけでなく、多くの家庭で盆栽のように鉢に植えています。家族経営の小さな農家でも、有機栽培で手摘みし、高品質のエクストラバージンオリーブオイルを作り、国際品評会で受賞しているのはとても有望です。量では存在感がなくとも、品質比べで肩を並べているというのは、むしろ競争力があると言うもの。アドリア海に面する小さな国クロアチアの産業として、赤い土をしたこの地域のオリーブが元気に育っていくといいですね。

 

Y.A.

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2021年

2月

05日

「KARAOKE」という文化

 「じゃ、次はカラオケ行こうか!」というのは、日本では飲み会の後でよくあるパターンです。

 

 ドイツ人は着席したらビール1杯とつまみで何時間でも話していますが、日本人は場所と趣向を変える傾向があります。ドイツ人にとっては、良い感じに話が進んでいるのに場所を変えること自体がすでに不可解なのに、その行き先がカラオケとなると、これはかなり理解に苦しむ状況です。

 

 というのも、ドイツ人の日本人に対するイメージと言えば、意見を言う時も遠慮がち、控えめに周囲に気を使って、目立たない、目立ちたくないというのが一般的です。カラオケはそのイメージとはかけ離れています。

 

 おとなしいと思っていた日本人が、カラオケとなるや突如水を得た魚のように目をキラキラさせて選曲カタログをめくり、争うようにマイクを回して2時間歌いっぱなし…。ドイツ人としてはイメージの相違を飲み込むだけで精一杯なのに、親切とばかりに歌うように勧め、マイクを渡してくるとなると、窮地に立たされた気分です。

 

 一方の日本人からすると、人前で堂々と自信に満ち溢れたプレゼンテーションをし、答えにくい質問にも上手く回答していくドイツ人ならどれほどの歌唱力を披露してくれるのかと多少の期待をしています。歌合戦なら日本のカラオケで鍛えてきた自分にも多少の覚えがあるというものです。

 

 しかし、マイクはドイツ人の間で次から次へと隣の人に回され、曲は決まらず、ようやく歌い出したと思ったら、マイクなのに声が小さいという展開。これは大いに考えられます。

ドイツ人の日常にはマイクで歌うという行為はないので、そもそも慣れていないのです。

 

 デュッセルドルフやベルリンといった日本人が多い都市にはカラオケがあります。しかし、仲良くなりたいドイツ人を連れていくのは十分に注意が必要です。

 

Y.A.

 

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2020年

4月

10日

新型コロナウイルスに関わるドイツと日本で感じる温度差

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)
日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

今回の新型コロナウィルス蔓延に伴い、

最初に日本とドイツの温度差を感じたのはマスクについてでした。

 

ドイツでは一般人がマスクをする習慣はありません。

(花粉症はありますが、一般的にマスクはつけません)

マスクをするのは医療従事者か、

自分が他人に伝染させる可能性のある病気にかかっている場合で、

マスクをするほど具合が悪いのなら家で寝ていろと言われます。

マスクをするなという広告も出ていたほど、マスクは一般的ではありません。

 

特に1月末に中国で爆発的な感染が分かってからは、

アジア人と見ると子供が悪ふざけで「コロナ!」と路上で声をかけてきたり、

学校でアジア系の子供が「コロナ!」と呼ばれたりということはありました。

(学校で早急にそのような行為をやめるよう厳重な通達を出したため急速に収まりました)

いずれにしてもマスクは目立つので、

マスクに慣れている日本人も着用を避けていたと言えるでしょう。

 

一方、マスクをした人を見かけないにも関わらず、ある時期マスクが店頭から消えました。

真偽は定かではありませんが、それはアジア人が買い占めたからだとも言われています。


ところが、日本に来てみると、空港から乗った電車の乗客は8〜9割がマスクをしており、

マスクをしていない方がむしろ目立ちます。

 

しかし、マスクを買おうにも店頭にはありません。

人口密度の高い日本の大都市では、

他人に伝染させたくない自分の姿勢を示すためのマナーとも理解できるので、

ハンカチでマスクを作って装着していました。

フィルターもなく隙間も空いていて防御という点ではナンセンスですが、

自分が陽性者であった場合に飛散を防ぐという点ではある程度有効です。

 

アベノマスクと揶揄されているマスク配布については賛否両論ありますが、

誰もがマスクを作れる訳でもないので、

画期的ではないものの一定の効果はあるだろうと思います。

増産されたり輸入されるフィルターの入った効果の高いマスクは、

まずは最前線で働く医療従事者の皆様に最優先で行き渡るようにして欲しいと願っています。

 

また、温度差で言えば、医療従事者に対する一般の方々の姿勢の違いも衝撃的でした。

日本では医療従事者やその家族に対していやがらせが一部で起こっており、いやがらせをやめようと広告が打たれていました。社会を守る砦を自ら壊すような行為であることが分からない人が多いということなのかとぞっとしました。

 

欧州では医療従事者に感謝の気持ちだけでも伝えようという傾向が強まっていることもあり、

医療従事者に対する反応には大きな隔たりを感じます。

いやがらせが顕在化するということは、

自分が感染しなければそれでよいという姿と、

それを止めることができない周囲の弱さが映し出されています。

 

今回のように大人も関わる差別の話を聞くと、

日本は先進国と自負しつつ、社会としては未熟なのかもしれないと悲しくなります。

医療従事者は現状、社会を守るために最前線で戦っている方々です。

それを心身ともにサポートするという姿勢を個々人が持つこと、

自身の欲をコントロールし、他人を思いやり、全体を考えること。

陳腐に聞こえるかも知れませんが、

より多くの人が暮らしやすい社会に一歩でも近づくために、

個人レベルでできることを口先ではなく意識的に実行する必要があります。

 
SNSの普及によって世界は同じ情報をリアルタイムで共有できるようになりました。

新型コロナウイルスの収束にはまだ時間がかかり、

人類は今後も犠牲を払い続けることになります。

最終的には膨大な数に及ぶであろう犠牲を無駄にしないためにも、

国々が人類として手を結んで助け合い、

相互に多くのことを学ばなければいけないと思います。

 

(Y.A)

 

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2019年

11月

15日

東西ドイツの壁の崩壊から30年

 

 天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典をテレビで見た後、

 ドイツのベルリンで行われている壁崩壊30周年式典をネットで眺めていました。

 どちらも感慨深いものがありました。

 

 壁が崩壊しなければ、旧東ドイツ出身のメルケル首相が演説をすることはなかったでしょう。

 

 旧東ドイツではブランドであった約700点の商品のほとんどは

 壁の崩壊とともに店頭から消えていきましたが、

 フロレナのクリームやロートケプヒェン(発泡酒)など生き残った商品は

 今でも旧東ドイツの人にとっては郷愁をそそるものです。

 

 壁が崩壊した当時、私のパートナーは17歳。

 壁の崩壊の日、彼はある学生を訪ねることになっていたものの、その住まいに着いてみれば、   鍵もかけないままもぬけの殻で、仕方なく他の学生の学生寮に行き、そこで初めてテレビで壁   の崩壊を知ったと言います。

 

 1989年9月以降は東ドイツ各地でデモが起こり、

 彼自身も西に逃げることを考えていたものの、降ってわいたような突然の出来事と

 逃亡する必要がなくなったことが即座には理解できなかったそうです。

 

 当時の東ドイツでは一つに統一されたという喜びよりも

 将来に対する不安が大きかったと言います。

 

 自分の国が無くなること、今まで正しかったはずの価値観が間違いだったと言われること、

 努力して築いた財産が目減りすること、キャリアや目標を失うこと、失業すること、

 家族が崩壊すること…。

 望む望まないに関わりなく、

 歴史に残る出来事はそれに関わる人々の生活を大きく変えていきます。

 

 旧東ドイツ人を侮蔑的に表現する「オッシー」という言葉を聞くことは少なくなりましたが、「B級国民」というレッテルを貼られたと感じた人は多くいます。

 

 壁崩壊は「20世紀の政治において極めて喜ばしいことであった」とはいえ、

 自分の人生を狂わせてしまった出来事であればそれを手放しで喜ぶことはできません。

 

 次の10年で東西の経済格差が改善され、

 意識の壁がさらに低くなっていくことを期待しています。  (Y.A)

 

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2019年

10月

25日

最近便利だと思ったこと

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

自分の住む町の市営駐車場のアプリを入れました。

 

空いている駐車場がどこなのかが分かり、駐車券を普通に取って入るものの、出庫時に駐車券に印刷されているバーコードを読み込んで決済して出ていくというものです。

 

日本ほど便利さを追求しないドイツでは珍しく、久しぶりにこれは極めて便利と感じました。

 

ドイツは券売機や精算機が壊れていることが多く、修理に時間がかかるため、壊れているものに当たる確率は高くなります。

 

壊れていなかったとしても、お釣りの小銭が十分でない場合は、例え最少額の紙幣であってもお札を受け付けません。

そのため、券売機や精算機を利用する可能性がある場合は、小銭を忘れないように注意が必要でした。

 

それが市営駐車場についてのみとはいえ、このアプリでようやく解決できたのです。

 

一方で、観光客はお釣りがないためにお札を受け付けない機械があるという事態がすぐには飲み込めません。

 

券売機で何度もお札をいれては吐き出されるのを繰り返し、お札の皺を伸ばしてみたり角の折り目を直してみたり。

最終的に「お札が入らないのですが、この機械は壊れているということでしょうか」と途方に暮れて声をかけてくることがあります。

 

チケットが無事に買えても、乗車したトラムの車内で刻印をしなければ有効なチケットとは見なされず、車内の刻印機が3台中2台壊れている場合もあります。

 

故障中の紙が貼ってあれば分かりやすいものの、貼られていないものもあるので、様子がおかしいと思ったら、別の機械でトライするのはドイツ人やヨーロッパに住む人にとってはもはや常識。

 

しかし、日本人の多くは、公共の機械が壊れている状況に遭遇するということが少ないために戸惑うようです。

 

駅の券売機が故障で券が買えなかった場合は、私は壊れている時刻や状況が分かるように携帯で撮って、とりあえず電車に乗ってしまい、車掌が来た時に説明ができるようにしておきます。

 

今回は駐車場のアプリに味をしめ、市内公共交通機関のEチケットアプリも入れてみたものの、サービス提供側の技術的な問題で上手くいきませんでした。

 

公共のものでありながら、この程度の仕上がり度で世の中に出してしまうとは…とその感覚にやや苛立ちも覚えましたが、最終的には「とにかくやってみよう」というドイツ的な感覚なのだと理解しました。

 

私がドイツに住み続ける理由・魅力は、不便さを乗り越えていく個人の発想力が求められる点とトライアンドエラーをしながら進むことが許されているという点にあるかもしれません。

(Y.A)

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2019年

10月

04日

呼吸するベビーワイン、フェーダーヴァイサー

 

 太陽の光が弱くなり秋を感じさせる晩夏の風物詩と言えば、

「フェーダーヴァイサー」の名前で親しまれている新ワインです。

 一般的には9月中旬から11月中旬まで楽しむことができ、10月がハイシーズン。

 

 言わば生きている発酵中のワインで、

 糖分がアルコールと二酸化炭素に分解されていくので、

 通気性がないとボトルが破裂してしまいます。

 そのため蓋には針の穴位の小さな穴が開けられています。

 

 近所の八百屋では量り売りをしており、瓶やタンクを持参して、瓶の重さを計ってもらい、

 中身を入れて再度計ってもらって、入れた量だけの値段を払います。

 容器を持参する量り売りは昔のやり方に思えますが、

 実はこれは現代のドイツで流行りつつある売り方・買い方と言えるでしょう。

 

 近頃は日常生活でいかにプラスチックを避けるかが学校でテーマとして取り上げられることも   多く、子供たちはとても敏感です。

 スウェーデンの女子高生・環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの行動から始まった若者たち   の活動「フライデー・フォー・フューチャー」の影響も多いにあります。

 

 日常生活で自分がどう行動するのかが大人の間でもより頻繁に問われるようになりました。

 プラスチックではなく瓶入りの飲み物を買い、

 青物市場でチーズや野菜や肉・魚を量り売りで買う…。

 実際には買い回りが面倒で気分に余裕がある時でないとできないとはいえ、

 量り売りで物を買うと本来あるべき正しい方法で買い物ができたという満足感があります。

 

 さて、注ぎ口がいくつもあることから分かるように、

 収穫時期にはぶどうジュースもりんごジュースも売られており、

 ジュースの場合はかなり甘いので炭酸水で割って飲んだりします。

 ちなみに、フェーダーヴァイサーが甘すぎる場合は、

 室温で6〜8時間放置して、発酵プロセスを進めます。

 

 フェーダーヴァイサーとして販売される以上、

 少なくともアルコール含有量4%である必要がありますが、

 糖分と状態によっては11%まで上昇することがあります。

 しかし、酵母が残っていることから、

 アルコール度数は同じように高くてもワインとは異なる味わいです。

 

 フェーダーヴァイサーは通常、

 良質の白ワイン製造には不向きな品種や早熟のブドウから作られ、

 オルテガとソラリスというよく品種が使われます。

 

 ブドウの収穫時にワイン産地を訪ねることがあったら、

 生きているベビーワインを探してぜひお試しくださいね。(青木)

 

 

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2019年

9月

27日

ホップの花が咲く時期

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

事務所のある通りは「ホップフェンガルテン」という名前で、直訳すると「ホップの庭」という意味です。

 

9月に入って角の家にホップの丸い花が咲きました。この花(毬花)がビールの原料の一つで、苦味・香り・泡に重要な役割を果たすと同時に、雑菌の繁殖を抑えることでビールの保存性を高めます。

 

ホップはつる植物で朝顔のように他の植物を支えにして6~8メートルにもなります。雄花と雌花は異株で、受粉してしまうと香りが落ちるため、雄花は抜かれてしまうそうです。

 

趣味で栽培している方も毬花と呼ばれる可愛らしい花を楽しみたいので、ガーデニングでも雄花の出番はなさそうです。多年生植物なのでホップ栽培地域では根株は10年~30年は使われます。

 

ドイツは全世界のホップ生産量の3割強を占めているとはいえ、どの地域でも見かけるわけではありません。

 

栽培地域としてはドイツでも中部から南部にかけてで、中でもバイエルン州のハラタウ地方が世界的に有名です。

 

ハラタウ地方は世界最大の栽培地域でドイツ国内生産の8割を占めています。

 

ホップは伝統的に鎮静効果・消毒効果があるハーブとされていますが、現在では99.5%がビールに使われており、ビールのために栽培されていると言っても過言ではありません。

 

多くは使いやすいペレット状に加工されますが、ドイツ国内での消費はその三分の一程度。それ以外は世界100ヵ国以上に輸出されていきます。

 

近頃流行りのクラフトビールを日本でも見かけましたが、ドイツのホップを入れた麻袋が置かれており、わざわざドイツから購入するのかと驚いたものの、日本でビール造りをするのであれば本場から輸入するのは妥当とも思えます。

 

ドイツでは家庭でアルコールを醸造することができます。ビールもその気になれば作ることができますが、スーパーマーケットで買えば、500mlで安いものだと50円程度、高くても200円となると、その手間から考えてまったく割りに合いません。

 

しかし、作る人によれば、ホップのペレットの組み合わせ、麦芽の組み合わせによってビールの色も味も異なるのが面白いのだそうです。

 

発酵食品は私も大好きでヨーグルト、納豆、麹、味噌は作っていますが、ビールについては機材も多くて二の足を踏んでいます。今年こそ挑戦してみようかな…。

 

(Y.A)

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2019年

9月

20日

自転車シェアサービスの行方…?

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

ドイツの主要な駅前には自転車シェアサービスのステーションにシェア自転車がたくさん並んでいるのをみかけます。

 

町の中にもステーションがあるので、好きなステーションで借り、別のステーションで自転車を乗り捨てでき、利用料も安価なのが利点です。

 

登録料として数ユーロのデポジットを払い、最初の30分は無料、その後30分で1ユーロ課金というシステムが一般的で、ステーションを持たない乗り捨てタイプのサービスもあり、市内の移動にとても便利なシステムです。

 

この自転車シェアサービスシステムはヨーロッパひいては世界的に普及してきているように思えますが、実際にはそれほど上手くいっていないという現実もちらほらと聞いています。

 

故障、破損(破壊)、紛失(盗難)がその大きな原因のようです。

特に暇を持て余した若年層の意図的な大量破損の前に、フランスでも撤退を余儀なくされたサービス会社があります。

 

私の住むハイデルベルクでは近頃ステーションレスのスクーターシェアサービスも始まりました。

 

町の至るところにスクーターが乗り捨てられ、置き場所によっては通行人の歩行を妨げ、景観も損ねるとはいえ、見かけたところで乗れて、要らなくなったら乗り捨てられるのは使う人にとっては便利だろうと思います。

 

しかし、一方ではこのスクーターは持ち上げられる程度のものなので、実際にはいたずらで川に投げ捨てられることが多く、消防所もその対応に困っているのだそうです。

 

ドイツやフランスでは自動販売機も公衆電話ボックスも落書きや破損が目立ちます。

 

利用者が借りた物品を借りた時と同じ状態で返すという前提と放置しておいても破壊されない治安の良さが基盤となるこのシステム。

サービス業者が悲鳴を上げて撤退する前に、上手く機能するようになって欲しいものです。

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2019年

9月

06日

除草剤主成分グリホサート使用、EU内禁止は2022年が期限

毎年日本に帰国すると伊豆にある別宅の除草をしています。1年に一度しか除草しないため、翌年には再びジャングルになっています。

ドイツに比べると日本の植物の強さと量は圧倒的で、愛でるというよりむしろ戦うものという印象です。草刈り機を借りて表面の草を刈り、根の強い植物を掘り出していく作業は延々と続き、全く終わりがありません。もはや疲れ果て、昨年初めて除草剤を使ってみたところ、今年の草刈りは驚くほど楽でした。

しかし、除草剤を使うか否かは非常に悩ましいところです。それというのも、除草剤の主成分はグリホサート。世界でも日本でも最も売れている除草剤「ラウンドアップ」の主成分でもあり、その危険性が世界的に問題にされています。

国際がん研究機関IARCは2015年に「ガンを誘発する可能性がある」ランク2Aとし、オランダやフランスではすでに発売禁止、アメリカの裁判所では同除草剤によってガンになったという男性の訴えに基づいてメーカーに多額の賠償金命令が出され、バイエル製薬とラインドアップのメーカーであるモンサント社は異を唱えているという状況です。EU内では2022年までしかこのグリホサートの使用は認められていません。

 

ドイツ鉄道は先週これまで線路の90%にあたる6万3000㎞に使っていた除草剤の使用料を半分に減らすと発表しました。これはドイツ国内で消費される除草剤の0.4%にあたり、農業や園芸分野でより多くの除草剤が使われているとはいえ、EU規程に準ずる方向に持っていくためのドイツの分かりやすい舵取りとして評価できると思います。2023年までの許可延長は期待する向きもありますが可能性は低いようです。

製薬会社ならいざしらず、一般的には誰しもできることなら生態を汚染する薬剤は使いたくないでしょう。ただ他の方法として考えられる、手作業、熱湯、蒸気、電気、UVライトにはより多くの労力と経費がかかることが予想されます。

 

EU内で使用が禁止されるまで後3年。ドイツ鉄道など大きな機関が関わることで除草剤以外の除草方法が周知されていくことを期待します。

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2019年

8月

23日

日本人の当たり前は、外国人から見ると当たり前ではない件

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

ドイツから日本に一時帰国すると慣れるのに数日はかかります。

 

よくやってしまうのが車を運転しようとして助手席のドアを開けてしまうこと。

助手席に乗ろうとして運転席側に回るというのもよくあります。

ドイツでは左ハンドル、右側通行なので反対なのです。

 

一方、ドイツのタクシーは自動ドアではないのでドアは自分で開けることになっています。

そこで日本のタクシーに乗ろうとするや、突然ドアが開くので驚いて後ろに飛び退り、降りる時には閉めようとして、「自動です!」とドライバーさんがやや心外な様子で言ってくることも。

 

役所に出向くと、うっかり青色ボールペンで記入してしまって書き直しすることになったり、さらにチェック欄に✓ではなくドイツ式に×をつけてしまって、「✓で書き直しお願いします」と注意され、「分かればいいじゃないか。些末的なことに左右されて…」と憤慨したり。

子供の生まれた年を聞かれ、「調べないと分かりません。あ、西暦なら分かるんですが、和暦だと…」と慌ててスマホで確認したり。

 

自動販売機で飲み物が買えるのに自販機がそうそうはないドイツの習慣からペットボトルに水を入れて持ち歩いたり。

 

深々と頭を下げられると逆に居心地が悪くなって自分もそれ以上に深くおじぎしてみたり。

 

人にぶつかりそうになった時にどう見ても日本人なのに外国人のように「Oh, Sorry!」と言ってしまったり。

 

スーパーのレジ係さんがコードを読み取った後の品物を目にも止まらない速さで自分のエコバックに入れてしまったり(ドイツではレジでは速く作業しないとレジ係さんはお金を受け取るや否やすぐに次の人の品物を読み込みはじめ、品物が混ざってきてしまうことがあるので手早く作業する必要があります)。

 

久しぶりに会った友達を思わずハグしようと急に近づき、相手がたじろがせてしまったり。

 

数え上げれば切りがありません。

 

ドイツの当たり前が日本人にとって当たり前でないように、日本人にとっての当たり前は当然のことながら世界の当たり前ではありません。

 

いつぞや、ドイツ人の友人に「日本の炊飯器は歌うのね!」と言われて何事かと思いましたが、何のことはない、米が炊けた合図にきらきら星の一節が鳴った時の話です。

 

これはむしろ合図なのであって突然炊飯器がだみ声で歌い出しでもしたら驚愕する、いくら日本がロボット分野で頑張りたいと思っているとは言っても、炊飯器の声色やレパートリーが増えることはまずないだろうと説明しておきました。

それを言ったら日本ではエレベーターも切符販売機も皆おしゃべりすることになります。

 

遠くのアナウンスや通りすがりの話し声でさえ言葉として聞き取ることができ、よく知っているはずの祖国ですが、たまに帰ると外国人の皆様が、日本では当たり前と受け止められている色々なことに驚きながら日本を旅し、あるいは日本に住んでいるであろうことが分かります。

 

そんな日本の当たり前にすぐに慣れない外国人および一時帰国者をぜひ暖かい目で見守って頂ければと思います。

(Y.A)

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2019年

7月

26日

アルティメット

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

跳ぶ、走る、投げるという様々な能力が必要なため「究極」を意味する名称で呼ばれるアメリカ生まれの競技フリスビー「アルティメット」。

 

これは1968年にアメリカの高校生によって考案されたものですが、日本に入ってきたのは近年なので、名前も聞いたことがないという方も多いのではないかと思います。

 

実は私もその1人でしたが、今回初めてドイツ/ハイデルベルクで開催された世界選手権大会を観ることができました。

 

基本的には身体が触れないラグビーの感覚で、7体7で戦います。

フリスビーを持ったら10秒以内に仲間にパスし、フリスビーを持って歩き回ることはできません。

 

面白いのは、得点が入ったらメンバーを替えていいことです。

全員を交替させてもかまいません。

 

そして、さらにユニークなのは審判がいないことです(アドバイザーのような人はいます)。

交代メンバーが周囲にいて皆で判断・協議してゲームを進めて行きます。

フェアプレーを重んじるスポーツでもあるこのアルティメット、実は日本が元祖アメリカに並んで強いのです。

 

今回は参加国60カ国。

その中で日本は、男子3位、女子2位、混合2位という素晴らしい好成績をおさめています。

 

日本からも選手のご家族が応援にきており、駆けつけたハイデルベルク在住の日本人と共に大いに盛り上がりました。

 

カナダやオーストラリアなども強いのですが、体格の違う日本人が極めて低いパスをまわしていく姿を見るのは爽快です。

 

子供の間だけでなく、大人の間でもフリスビーがブームになりそうです。

 

(Y.A)

 

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2019年

7月

12日

ドイツ人の夏休み

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

ヨーロッパの夏と言えばバケーションです。

 

2週間の連続した休暇を取る権利が法律で認められているドイツでは、初夏から初秋までは担当者不在によりビジネスに支障を来たすこともしばしば。

 

休むのはお互い様で仕方がないという感じでこの時期はむしろ上手く動かないことを前提に仕事をしないと大きな誤算が生じます。

 

2週間の夏休みでドイツ人が向かう先は南欧です。

イタリア、スペイン、ギリシャ、フランス、オーストリア、南ドイツが多く、海や湖といった水場を求めて動きます。

 

ところで、ドイツでは6月30日は記録的な暑さとなり多くの都市で38度を超えました。

フランスでは6月末に45度超えという観測史上最高の暑さが記録され4000校が休校となっています。

 

暑さだけならわざわざ南に下らず、もはやドイツにいてもいいようなものですが、長期の休みにどこかに行かないのは人生の損失とばかりにドイツ人は旅行を計画します。

夏が近づくと、「この夏はどこへ行くの?」がもはや挨拶代わりと言っていいでしょう。

 

一方、休暇は全国平均で年間約29日間。

祝日は州によって9日(ベルリン)から13日(バイエルン州)と異なるものの、平均して41日間の休暇を取得できることになります。

 

病気や怪我の場合、上司に連絡して医師が発行する就労不能証明書を提出することで有給休暇日数から差し引かれることはありません。

夏と冬にそれぞれ数週間の長期休暇を取るのはむしろ普通です。

 

ドイツに駐在で来ている日本人の多くが、日本の仕事場で復帰することに不安を覚えたり、言葉と食べ物が何とかなればドイツで働き続けたいと思ったりするのもわかります。

 

休暇が終わった途端、次の休暇のプランを立て始めるドイツ人。

日本などで話題になる「過労死」が起こる状況や価値観、生き方は現代のドイツ人にとっては中々理解しがたいものかもしれません。

 

 

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2019年

6月

28日

エアフルト:「青い金」の集積地

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

エアフルトはドイツの中央部にあるテューリンゲン州の州都で人口は約21万人です。

 

地理的にヨーロッパにおける交通の要所となっただけでなく、青色染色の原料となる植物大青(タイセイ)の栽培に土壌や気候が適していたことから古くから青色染色が盛んでした。

 

大青は菜の花に似た植物で花は黄色ですが、青い色素を生み出します。かつては葉をすってペースト状のボールにまとめ、発酵させて使っていました。

染料業者は発酵にアルカリ溶液を使うと色が濃くなることから人の尿を使っており、市中だけでなく周囲にも相当な臭いが漂っていたと考えられます。

それは、エアフルト大学に在席し、後に宗教改革で知られることになるマルティン・ルターが、「エアフルトはまず臭い、それから見えてくる」と評していることからもうかがえます。

そのような物言いに対し、かつての大青商人たちはかつてのローマ皇帝ウェスパシアヌスのように「金は臭わない」と言い放ったことでしょう。

 

一方、ドイツ語で「青をつくるBlaumachen」という言葉は「何もしない」ことを意味していますが、一説によれば、これは作業をする人が大青の発酵汁を染みこませた布が空気に触れて酸化による色素変化で青色に変わるのを他に何もせずに待っていたことからきた言い回しだといいます。

また、アルコールが残っている尿はさらに発酵を加速させるということで、アフルトには酔っ払いの尿を買い取ってくれるビール醸造業者もいたそうです。

 

インディゴに代表される安い染料が外国から入るようになるとエアフルトの染料・染色業は衰退していき、今では郊外にわずか1軒の工房があるのみとはいえ、第二次世界大戦の戦禍を免れた旧市街にはかつて「青い金」と呼ばれた青色染色で財を成した商人たちの立派な家が並んでいます。

 

エアフルトだけでも、マリア大聖堂、セヴェリ教会、クレーマー橋と見どころはたくさんありますが、西30kmにはルターが匿われて聖書を訳したヴァルトブルク城(ユネスコ世界遺産)がありヨハン・セバスチャン・バッハが生まれたの町でもあるアイゼナッハ、東20kmには古典主義の都ヴァイマール(ユネスコ世界遺産)もあるため、エアフルト周辺はお得なチューリンゲンカードで回るのがおすすめです。

 

https://www.visit-thuringia.com/travel-hotel-holiday-tour/index.html

 

(Y.A)

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2019年

6月

14日

ドイツの珍しい山、「カリマンジャロ」

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

ドイツの真ん中テューリンゲン州から高速道路でフランクフルトに向かうと、

途中ちょうど州境の辺りに真っ白に輝く山が見えます。

 

その名も「モンテ・カリ」。

地元の人々は冗談めかしてこれを「カリマンジャロ」と呼んでいます。

簡単に言えば岩塩のボタ山です。

1893年にヴェラ川沿いで初めてカリウムについて言及されており、

1894年にはボーリング調査で、深さ470 mの地底に

幅2~3 m のカリウム層が見つかりました。

そして、さらに60 mから70 mの深さにももう一つの厚い層があったのです。

 

この鉱山は現在、世界最大のカリ採掘地域となっています。

その大きさは312平方メートルで群馬県前橋市に匹敵するものです。

現在はおよそ1億8,800万トンの塩からなっていますが、山の高さは常に変わり続けています。

それというのも現在も1時間ごとに900トンずつ大きくなっているのです。

 

遠くから撮ってもとても印象的ですが、登ることもできます。

毎年1万人の観光客が訪れ、晴れた日には、この頂きから周囲の山々

(ホーアー・マイスナー(Hoher Meißner )、レーン山地Rhön、チューリンゲン森、

北ヘッセン高地)に向かう美しい景色が広がります。

一方では、雨が降れば地域の土壌や地下水を

汚染することになるのではないかと不安になります。

 

しかし、現在では採掘された状態の塩(粗塩)から、

様々な塩の構成物を分離するのに静電特性を利用しており、

塩を含んだ排水を防いだことで、

かつて東ドイツ時代に完全に塩水となってしまった川に再び生物が戻ってきているそうです。

 

https://www.kalimuseum.de/

 

(Y.A)

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2019年

5月

31日

フランスの避暑地アヌシー

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

ヨーロッパでも透明度の高さで知られるフランスのアヌシー湖は避暑地として有名で、

ジュネーブから車で約1時間のところにあります。

 

スイスのジュネーブは物価が高いことで知られていますが、

ジュネーブとアヌシーの往復をフリックスバスのドイツサイトで探したところ、

片道4ユーロという破格で購入できました。

これはジュネーブでならコーヒ1杯やっと飲めるかという値段です。

 

バスはジュネーブ側もアヌシー側も極めて分かりやすく、

往復とも遅れもなく快適であったと同時に、電車なら値段は3倍以上、

所要時間1.5倍であることを考えると実に魅力的と言えるでしょう。

 

アヌシーの旧市街自体はこじんまりとしていて

1時間もあれば歩いて全体をつかめる程度ですが、

小径やトンネルがここそこにあり、フランスらしいセンスの光る個人商店が建ち並び、

目的を決めないぶらぶら歩きにもってこいです。

 

某会議の水色ストラップをかけた人を見かけました。

ジュネーブからソーシャルプログラムとして

アヌシーへのエクスカーションがあったのかもしれません。

 

湖に臨む公園は美しく整備され、時間がゆっくりと流れていきます。

町のいたるところに消火栓のようなものがあり、

ボタンを押し続けるとポンプで汲みあげるような音がして、その後飲料水が出てきます。

日本から来たら驚かないかもしれませんが、

ドイツではごく珍しいものなので、新鮮でした。

 

1時間の遊覧船に乗ってみたところ、説明はフランス語のみ、

かつ70代以上の方が大半を占め、景色は美しいものの私にはやや退屈。

一人旅でないなら30分のペダルボートやボートの方がきれいな湖水を楽しめると思いました。

 

ツーリストインフォのある建物では、天井から障子が吊るされていて、

何かと思って見てみれば「アヌシー国際アニメーション映画祭」が開催されるとのことです。

 

図書館脇にあるショップも漫画コーナーの充実ぶりには目を見張るものがありました。

フィギュアなども販売品として多数置かれていて、

日本のサブカルチャーがフランスの有名な避暑地に浸透していたのは驚きです。

 

(Y.A)

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2019年

5月

17日

ドイツのスーパー、フランスのスーパー

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

ハイデルベルクはドイツの中でもどちらかというとフランスに近い地域にあり、

フランスとドイツの国境まで車を走らせれば1時間程度。

 

そんな手軽さもあって、時々週末の買い出しに

ドライブも兼ねてフランスのスーパーに出かけます。

 

同じヨーロッパとはいえ日本国内でも関西と関東では品揃えに変化があるように、

フランスのスーパーも基本的なものは同じとはいえ、

ドイツとは異なる品揃えにマンネリになりがちな食料品の買い物が

その日のハイライトになるのです。

 

私がフランスのスーパーで買う物の第一位はシロップ。

桃、グレープフルーツ、ベリー、レモン、ミントなどに加え、

アルコールの入っていないモヒートも秀逸で、

水や炭酸水で割って飲んだり、かき氷にかけたりします。

 

第二位はサブレやキッシュの生地やすでに焼いたクレープやそば粉クレープ。

ドイツでもパイ生地は安価で手に入りますが、

やはりフランスの方が生地のレベルが高く美味しいものが多い気がします。

すぐ冷凍にして必要な分だけ使います。

 

第三位はバターやバターの入った焼き菓子。

やはりバターの違いなのか、甘い焼き菓子で比べるとドイツはフランスにとても敵いません。

 

今回はそれにクルミと木の実の茶色いパン、午後のお茶用タルト、

男の子のマークが目印の香りのいい「LE PETIT MARSEILLAIS プチ マルセイユ」の

ハンドソープ(フランスの洗剤は全般的にドイツより高めなので基本的に買いませんが、

このハンドソープだけはコスパもいいので買いです)も持って帰ってきました。

 

魚もドイツに比べると種類も店舗数も多い印象です。

ドイツ人は今でも食べ物は質より量で、楽しむというより命を繋ぐために食べている感じで、

ラーメンや寿司など外国の食べ物に不思議なアレンジを加えてしまう傾向があるようです。

 

一方のフランス人は日本人と同じく食そのものに楽しみを見出して、

アレンジは最小限に元々の味を活かすセンスがあると思います。

 

気質的には質実剛健で真面目なドイツ人の方が日本人に似ていますが、

食に関して言えば、フランス・イタリア・スペインなどのラテン系の国々に住む方が

日本人にとっては満足度が高そうです。

 

 (Y.A)

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2019年

5月

10日

世界最大のメッセBAUMA

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

ミュンヘンで3年に一度行われる世界最大の建設機械の国際見本市BAUMAバウマ。

 

色とりどりのクレーンが空に向かって高く延び、

バルーンが飛び、飛行船や飛行機が上空を旋回しています。

 

建設機械の見本市とあって屋外会場が広く、

総面積61万4000㎡(東京ドーム約13個分)で、

会場には移動のためのリキシャ自転車や周遊トレインが走ります。

 

ただでさえ規模が大きいのに加え、

今年のBAUMAは過去65年間で最高の入場者数を記録し

世界200カ国以上から62万人の人が訪れて、

ドイツでは経験することのないラッシュ時の山手線並みの人混みでした。

そのうち25万人が海外から来ており、前回と比較しても4万人の増加です。

 

出展者は63カ国から約3700社で7日間の長期展示とはいえ、

すべてを見ることは不可能と言えるでしょう。

 

ミュンヘンではこの時期にホテルの値段が跳ね上がり、

数少ない5つ星ホテルは1泊12万の高値をつけていました。

人数がある程度多くなるとザルツブルクやニュルンベルクなど、

半径200キロ程度の遠方のホテルを視野に入れなければ、泊まることすらできません。

その場合は毎日2時間かけて会場に通います。

 

ミュンヘンのレストランもどこも満員で電話予約は受け付けないところが多く、

実際に足を運ばないと予約さえ入れられません。

 

日本の建機メーカーも多く参加し、どこもよく賑わっていたのは嬉しい限りです。

ヨーロッパでも日本の重機を見かけることが多くなり、

日本の頑張りには目を見張るものがあります。

 

次のバウマは3年後の2022年4月4日から10日です。

大企業は3年前からレストランやホテルの予約をして前金を払うと言うので、

建機メーカーにとっていかに重要な催しであるかがわかります。

 

家のように大きなショベルカーを見つめる子供や若い男の子のグループ、

そのきらきら光る目は隣でショベルカーを見つめる中年の男性の目と同じでした。

 

(Y.A)

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2019年

4月

19日

オーバーアマガウ

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

先の日曜日、教会の前で椰子の葉を持った聖職者が立って歌っているのを見て、

「棕櫚の主日」、復活祭の1週間前の日曜日であることを思い出しました。

イエスの受難が始まるエルサレム入城を記憶するもので、

ここから復活祭までの1週間が受難週です。

この期間にはイエス・キリストが十字架刑で殺される受難の

過程を再現する劇が世界各地で開催されます。

 

ちょうどその日に向かったのが十年に一度、

村人総出で大がかりな受難劇が催されるとして有名なオーバーアマガウという小さな村です。

南ドイツ/バイエルンアルプスに囲まれ、オーストリアとの国境近くに位置しています。

 

1633年「ペストの蔓延が収まったら受難劇を10年に一度上演する」

という誓いを立てたことがきっかけとなり、

その翌年から実に370年以上も受難劇を上演し続けてきました。

十年に一度しか開かれないお祭りとあって

ヨーロッパはもとより世界中から観光客が集まります。

住人でなければ出演することはできませんが、

村に住む約5000人のうち約半数の2500人が劇にかかわっているそうです。

 

次の開催は来年2020年、5月から9月にかけて100回以上公演されます。

多くの民家の外壁は童話や宗教を題材とした絵画や花の模様がフレスコ画で飾られており、

「ヘンゼルとグレーテル」や「赤ずきん」「七匹の子ヤギ」といった

有名な童話が描いてある家を探して歩くだけでも楽しいところです。

 

壮大な景色が見たいなら町の東側にあるロープウェイLaber-Bergbahnで

オーバーアマガウのラーベル山(1684m)に登れば

遠くミュンヘンまで見えることがあります。

冒険してみたいなら、町の西側にある

コルベンツァイル・チェアリフトKolbenzeilsesselbahnで

渓谷駅(850m)から山駅(1270m)に登り、

走行距離2.6キロ/最高速度40km/時のロングスライドコースターで

400mの高低差を駆け下りてみるのも面白いでしょう。

 

受難劇は上演されていなくても、

壮大なアルプスの景色や民家のフレスコ画、

木彫り細工のお店など小さい村でありながら見どころ満載なので、

ドイツ/ミュンヘンからオーストリア/インスブルックに抜ける時には

ぜひ立ち寄って頂きたいスポットです。

 

(Y.A)

 

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2019年

3月

29日

ドイツ鉄道あるある物語

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

ドイツの東の端にあり、

チェコ共和国との国境まで30キロというドレスデンから

プラハ行きの電車に乗ろうとしたところ、

電光掲示板に「80分遅延」の表示が出ていました。

 

インフォメーションで聞いてみると、

「他にプラハへ電車で早く着く方法はないけれど、

少なくとも電車はホームに定刻に入ってくるわよ」とのことでした。

この先の区間に制限があるので仕方がないのだろうだといいます。

 

いつものことでもはや腹を立てる気にもならないとつぶやきながら

駅舎の片隅に座っていたものの、寒いのでせめて電車の中で待とうと

来ていたプラハ行きの車両に乗り込みました。

 

本来なら出発する時間だったのにと時計を眺めてため息をついていた頃、

大きな荷物を持った女性が車両に乗ってきて、

「空港に行きたいのに遅延で本当に困るわ。

でも、とりあえずコーヒーでも買って来ることにするわね…」と

荷物を置いてホームに出ていきました。

それから5分、ふと気がつくと電車がゆっくり動き出しています。

80分の遅延予定が一気にわずか10分に縮まり、

注意アナウンスもないまま電車は静かにホームを出てしまったようです。

 

荷物だけを乗せて電車は発車、

残された女性は呆然とコーヒーを片手にホームで立ち尽くしたに違いありません。

財布は持っていったものの、遠方への旅の始まりがまずは終着駅であるプラハ中央駅での

荷物の捜索からというのは悲劇です。

 

やってきた車掌にその事情を話しをすると、

それは一大事と連絡を取り始める前に、

車掌自身も突然、緑のランプでその電車に乗るよう指示があり、大急ぎで飛び乗ったのだ、

自分も大変だったと言います。

車掌も乗り遅れたら、国を繋ぐ国際列車でありながら

車掌なしということもあったのでしょうか。

そもそも80分遅延と記載されていなければ電車から降りることもなかったと思うと、

その女性が気の毒でなりません。

 

いずれにしても、10分遅れで出発した電車なのに予定時刻よりも20分も早く到着し、

そもそも運転ダイヤも怪しく感じられてきました。

 

掲示板も信じられないとすると、

ドイツにおける鉄道の旅を安全にこなすにはもはや経験と勘が頼りです。

 

今回は、電光掲示板も軽く信じない、来た電車には乗っておく、

荷物は手元に置くというという、三つの鉄則を追加的に学びました。

ドイツ鉄道に乗るとほぼ必然的に望んでもいないアドベンチャーに遭遇します。

 

ちなみに、プラハ中央駅の電光掲示板では

出発の15分ぐらい前にならないと出発ホームが表示されません。

面倒ではありますが、今回ばかりはそれも一理あるのだろうなと納得してしまいました。

 

日本の常識は世界のほとんどで通用しないと実感します。

 

(Y.A)

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2019年

3月

08日

ミヒェルシュタット

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

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ミヒェルシュタットは、フランクフルトから南南東に70キロ、

ハイデルベルクから北東に60キロ、どちらからでも車なら1時間ほどのところにあります。

 

日本では知名度は低いものの、この地域では古い歴史を誇る

木組み家屋の街並みが可愛らしいことで知られる町です。

旧市庁舎は1484年に作られたゴシック様式の木組みのもので、

堀で囲まれた町のあちらこちらに中世の建物が残っていて、

町中を歩いても1時間もあれば見どころを地図で探しながら見て回れます。

 

周囲の町からエクスカーション先として使われることが多いせいか、

町には気の利いたカフェが多々あり、中でもカフェ・ズィーフェルトは

チョコトリュフの世界チャンピオンになったことを売りにしています。

店内には地元の熟年層が集い、スタイリッシュな雰囲気というより、古き良き時代の雰囲気。

 

トリュフも手作り感が強くきらびやかな印象はありませんが、面白いのはその種類です。

ワインやリキュールを使うチョコはまま見かけますが、

ゼラニウム、ラベンダー、オレンジの花、バラ、蓮花、タイム、ローズマリー、

ミント、バーベナ、オレンジとコリアンダーといった香味植物に加え、

ヤギのチーズやゴルゴンゾーラまでもがトリュフになっています。

この奇想天外なコーディネートが評価されたのかもしれません。(http://www.cafesiefert.de/

 

一方、ミッヒェルシュタットに行ったのなら町の中心からほど遠くないところに

もう2ヶ所寄っておきたいスポットがあります。

 

一つはコツィオールというカラフルでユニークなプラスチック製品の工場で、

色も形も意外性があるものが多くお土産としてよく使われます。

https://www.koziol.de/

 

もう一つはヒッチュラーというお菓子の工場です。

ハリボーのグミほどの知名度はありませんが、

ドイツ国内では広く子供に愛されるカラフルスイーツです。

https://www.hitschler.de/

 

どちらも工場直営店があって、訳あり商品を格安で買えるのが嬉しいところです。

 

(Y.A)

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2019年

3月

01日

ドネルケバブ

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

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少なくとも2週間に一度は我が家で登場する

ファーストフードといえばドネルケバブです。

 

第二次世界大戦後、ドイツの経済復興期に

ガストアルバイター(「お客さん労働者」)としてやってきた

大量のトルコ人移民によってもたらされた食べ物がドイツで独自の進化を遂げ、

ドイツ人のソウルフードに発展しました。

 

ドネルDönerとはトルコ語で回るという意味だそうで、

肉を刺し重ねた大きな串をぐるぐる回しながら周囲のグリルで焼き、

電動カンナで削った肉を使い、ドイツでは一般的に「デェーナー」と呼ばれます。

 

トルコ料理はさすが世界三大料理の一つだけあって、

進化系のドネルケバブもドイツ人を魅力しつづけ、ドイツの至るところにあります。

その勢いはマクドナルドを有に凌ぐと言えるでしょう。

 

「うちの町にはケバブ屋さえない」と言ったら、

町というより村なのだろうと思ってしまうほど。

マーケティング戦略や宣伝に頼らず実力で市民権を得たその美味しさは

ドイツでぜひとも味わってもらいたいものです。

 

丸く平たいパンをナイフで切って袋状にし、

その中に薄切りにした肉と紫キャベツ、レタス、トマト、玉ねぎなどの野菜を入れ、

お好みのにんにくや豆や辛いソースをかけてくれます。

 

値段は3.5〜4.5ユーロほどでリーズナブル。

家庭でひいきのお店があることも多く、

食べ物に迷ったら「ケバブはどう?」と提案すれば、

アジア人を相手に何を食べさせようかと悩んでいたドイツ人の顔もぱっと華やぎ、

「うちが美味しいと思う店はね…」と始まるはず。

お肉を入れずチーズでベジタリアンケバブを注文することもできます。

 

短期の滞在でもぜひ試してみてください。

長めの滞在ならお気に入りのお店を早めに見つけましょう。

 

(Y.A)

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2019年

2月

08日

安楽死について

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

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ドイツでは積極的な安楽死は禁じられています。

 

一方お隣のオランダでは、安楽死法が施行された2002年以降、

患者の自発的な意思、治癒の見込みのない病気、耐え難い痛みなどの

6つの要件を満たせば安楽死を選ぶことができるようになっています。

 

オランダで死にたいとするドイツ居住者からの問い合わせは多いそうですが、

安楽死が適用されるのはオランダに住んでいて、

オランダで健康保険に入っている人だけです。

 

オランダでは、2017年に安楽死で亡くなった人は6500人を超え、

それは死亡する人約23人に1人にあたり、日常会話で語られるまでに浸透しています。

近年この傾向は加速し、2017年から2018年だけを比べても8%増となっています。

 

オランダに続いて安楽死法を施行したルクセンブルクや、

ベルギーでも同じ傾向が見られるそうです。

 

安楽死を請求した疾病の6割はがん患者でしたが、

認知症が少しずつ増えてきました。

高齢化とともにこの部分はさらに進むことが考えられます。

 

私自身は自分で死に方を決められるということにむしろ安心感を抱きましたが、

人が「死を管理できる」ようになってしまうことに警鐘を鳴らす医師団体もあります。

特に「精神的な苦しみ」から死を求めるとなると、その線引きが極めて難しいものです。

 

安楽死は、延命治療を拒否して死期を早める尊厳死とは異なり、

安易にその範囲が拡大されていくのは心配ですが、

2013年に世界で最も子供の幸福度が高い国となっていたオランダで、

今後どのような議論が進んでいくのかとても興味深いところです。

 

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2019年

1月

25日

ABI 2018!

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

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小さな車にそんなステッカーが貼られていることがあります。

ドイツでアビと言えば、大学に入学するための試験アビトゥアの略で、

日本で言えば共通一次試験のようなものです。

 

大学進学を目指す生徒が通う学校をギムナジウムといいますが、

ここでの最後の2年間の成績とアビトゥアの筆記および

口頭試験の結果をもとに成績がつけられます。

生涯ついて回ることになるため、一生に関わる出来事です。

 

失敗しても合計2回までしか受けることはできず、最終学年で留年の形を取るため、

試験だけに集中できる浪人生活というのもありません。

 

合格を誇示する車はアビトゥア合格のお祝いに両親から贈られた

中古車である場合が多いようで、ドイツではまま見かけます。

 

いずれにしても、日本のように一発勝負ではなく、

最後の2年間の努力が評価されるのは、人によってはとてもありがたいシステムです。

マークシートが多い日本に対し、アビトゥアの筆記試験は記述が基本。

4~5時間といった長時間に渡り、A4の紙に10ページから15ページの論文を書いていきます。

カンニングは厳禁ですが、読解力・思考力・構成力の総合を問われる印象で、

カンニングできるようなものでもないように思われます。

 

来年夏に卒業する娘はそんなアビトゥアの筆記・口頭試験を

初春から5月の数か月に渡って受けることになっていますが、

日本の受験シーズンの雰囲気とは異なるようです。

大きな筆記試験をいくつも受けていくといったストレスで、

用意していれば焦る必要はないのだと本人も教師である夫も言います。

 

親類が遊びに来るのも全く意に介さない様子に驚く一方、

ドイツと日本を比べた時、一発勝負ではないドイツのやり方の方が、

複雑にはなるものの、子供の能力をはかる方法としてよりフェアであると同時に

高校の授業が最終学年になっても機能する方法の一つだろうと思いました。

 

(Y.A)

 

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2019年

1月

11日

「ツッカーラーデン」

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

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ハイデルベルクには、地元の人に愛され1948年から営業を続けている駄菓子屋があります。

その名は「ツッカーラーデン」。ツッカーとはシュガーすなわち砂糖のことで、

ラーデンはショップのこと。直訳すると「砂糖屋」といったところでしょうか。

 

店内を写真に撮ることはできず、外から店内は全く見えず、

入ってみないとその面白さはわかりません。

宣伝は一切しないというのに、年末年始には開店早々大賑わいで、

老若男女を問わずひっきりなしに狭い店内に人が入っていきます。

 

カウンターに立っている、なんじゃもんじゃ博士のようなヘアスタイルのお爺さんは

おしゃべりをしながら駄菓子を一緒に選んで売ってくれます。

髑髏の指輪を二つはめ、白髪頭は側頭部だけがジェット機の吹き出しのように逆立ち、

首の後ろ辺りに細い三つ編みを二本垂らし、モンペのようなブカブカズボンを

履いているという一度見たら忘れられない奇妙な出で立ちですが、

ところ狭しとお菓子が一見無秩序に置かれているように見える店内の

オブジェの一つのようにしっくりと馴染んでいます。

 

お爺さんはおしゃべりが大好き。

しかし急いでいることを告げるとさっと話を上手く切り上げるお手並みも見事なのです。

お会計の時にはサイコロを振らせてくれて、当たるとおまけをつけてくれるのが、

まるで日本の夜店のようですが、当たらなくても話が弾むとあれもこれもと

ちょっとしたお土産をくれます。子供はもちろん、

大人にとっても忘れていた子供心をくすぐられるところで、

一度行った人は必ずまた足を運ぶという、

ハイデルベルク市民に絶大な人気を誇る名店なのです。

 

おしゃべりはドイツ語か英語というのがややハードルが高いところではありますが…。

実はこのお爺さんは有名人で様々な形に組み合わせたグミを注文することもでき、

遠くはベルリンの新聞にまで載っています。

 

ハイデルベルクに住む人なら必ず知っているこのお店、探してみてください!

 

(Y.A)

 

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2018年

11月

16日

遅延頻発、イメージの違うドイツ鉄道

 

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

「リヒターさん、サービスカウンターにお越し下さい。お伝えしたいことがあります!」

とドイツの新幹線にあたるICE車内でアナウンスが流れました。

 

人身事故の影響で上下線とも完全に止まり、待つこと車内で2時間半。

遅延証明が配られ、食堂車では無料の飲み物が配給されましたが、

誰もがややストレスを抱えながらアナウンスには敏感になっています。

 

続くアナウンスは

「あなたの奥さんは別の電車に乗ってしまいました!詳細お教えします」とのこと。

車内は爆笑、一気に雰囲気が明るくなりました。

通常続く英語アナウンスはなく、ドイツ語が分かる人が顔を見合わせて笑い合う中、

当のリヒターさんには遅延に続く災難ですが、笑わせてくれたリヒターさんに感謝し、

対応したドイツ鉄道を見直しました。

 

ドイツ鉄道のここ数年の遅延は以前よりひどくなった印象があります。

駅に入って電光掲示板に遅延や車両変更がないとほっとする有り様です。

「ドイツの鉄道は日本とまではいかなくてももっと時間通りに運行されていると思っていた」

というのは、もはや夢の話し。

 

とはいえ、ICEの車両自体はずいぶん快適になり、電源もWIFIもあり、

個々の座席に画面まではないものの、スマホやIPadがあれば、

飛行機のように無料で映画やオーディオブックも使えます。

 

スマホのアプリは当初から使い勝手が素晴らしく良く、近頃はさらに機能が増えて、

座席予約していればチェックイン機能を使うことで車掌も検札にきません

(日本では改札があるのでそもそも検札にきませんが、ドイツでは車内で改札します)。

遅延による一部返金手続きもオンラインでできるようになり、

遅延対処策は進歩しているようです。

 

いずれにしてもドイツ鉄道のスマホアプリはオンタイムで遅延をチェックできるので、

ドイツを電車で旅行される方々には必携おすすめアプリです。https://www.bahn.com/en/view/index.shtml

 

Y.A

 

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2018年

11月

09日

今日のボンと気になったお店

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

ボンというとかつての西ドイツの首都。

ノルトライン・ウェストファーレン州でも州都のデュッセルドルフ、

人口としては州最大のケルンがさらに北の方にあります。

 

当時はケルンやフランクフルトを差し置いて

ボンが首都となったことがそもそもの驚きでした。

実際、それに一番驚いていたのはボンの人たちかもしれません。

 

いずれにしても、わずかな間だけの首都と考えられていたものが意外に長く、

戦後半世紀の歴史はここで刻まれました。

 

89年に東西ドイツ統一後に首都機能をベルリンに移設することが決定された際にも、

ブリュッセルに近いという立地条件を活かし機能はベルリンと分けることになりました。

 

しかし、一般的にはやはりじわじわと機能はベルリンに集中してきて、

15億ユーロという資金をかけて維持・再興を目指したとはいえ、

ボン自体は忘れられ寂れているのではないかという印象を持っている

ドイツ人が多いのではないかと思います。

私も似たような考え方でした。

 

しかし、今回機会あって行ってみたところ、

人口30万程度であるにも関わらず、商店はしっかりと揃い、

インフラも整備されており、ライン川に面して美しいジーベンゲビルゲ山地が広がり、

駅も町に直結していて便利です(2019年までミュンスター教会は修復中のため閉鎖)。

 

戦後の歴史が綴られてきた場所があちらこちらにあり、

ボン大学(学生数38000人/この10月でちょうど創立200年)もあって、

向学の雰囲気が漂っています。

 

ベートーヴェンの生家は、民間の公益団体が建物を維持し成功している良い例で、

日本語のオーディオガイドも充実しています。

 

さすが旧西ドイツの首都ボン。

ボン生まれのグミ「HARIBO」の専門店はさすがで、

ドイツだけでなくオランダやフランスのハリボー、

スーパーでは売られていない種類が豊富にあり、遊び心をくすぐられる店構えでした。

 

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2018年

10月

26日

教会の石に歴史を感じる

 

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

かつて教会は人が毎日集まるところでした。

そもそも毎日朝から礼拝がありましたし、

今のように建物の中で物が売られることはなく、

教会を中心として屋外の明るい通りや広場で売ったものです。

 

様々なゴシック様式の教会を見てきましたが、

ドイツにおいてはフライブルクの聖堂(ミュンスター)が

ウルムよりもケルンよりも美しいように思います。

 

フライブルクは第二次世界大戦における

わずか20分の爆撃により旧市街の80%を失っていますが、

極めて上手く再建された都市の一例です。

フライブルクのミュンスター聖堂の塔は奇跡的に残ったものの一つで、

そのレースのような石造りの塔はゴシック様式の教会として必見と言えるでしょう。

 

古くから市民による自治が行われてきたこの町には、

あちこちにかつての市民のユーモアに富んだ歴史的な造形物が残されています。

 

聖堂の入り口には、昔は市場を管理する裁判官が詰めていて、

壁には裁判を行う際に座るための階段状のベンチがついていました。

 

また、教会の入り口の壁には色々な彫り物がされており、

南側に向かっては日時計(かつてはそれぞれの町に基準時があった)、

パンの基本形、度量衡、桶の大きさなど、

商売を行う上で重要なものが彫り込まれています。

 

パンの基本形についてはラテン数字で年号が書かれていますが、

大きいサイズは1270年のもの、その上の小さい方は

その50年後の1320年のものだということが分ります*。

また、凶作の年と豊作の年とではずいぶん違ったであろうことも分かります。

 

雪の結晶にも似た塔の透かし彫りは一つ一つ手で彫られ、

今日まで高い芸術性を誇ることに感嘆せざるを得ません。

 

一方、厳格なキリスト教が根ざした日常生活を送りながら、

かつての石工たちは実に自由で斬新かつ下品とも言える装飾を取り付けています。

それを認める社会のおおらかさとは、

厳格さとこの自由な発想が共存する中世世界とはどんなだったのか、

中世の市民生活を覗いてみたいものです。

 

*「AD」の後のローマ数字の読み方:M=1000/C=100/L=50/X=10/V=5/II=2。XXを繋げて書いていることに注意!!

 


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2018年

10月

12日

ライン川の名勝「ローレライ」の本当の見方

 

 ユネスコ世界遺産として登録されているライン川中流域のライン川クルーズは

 ドイツの観光でも王道の一つと言えるでしょう。

 

 フランクフルトから日帰りもでき、さらに進んでケルンの大聖堂へ向かうこともできます。

 グループツアーであれば大方、リューデスハイムで午前中に乗り(川の北側が古城が多く、

 午前中は日が当たって美しい)、1.5時間ほどのザンクト・ゴアもしくはその対岸のザンク   ト・ゴア・ハウゼンで下船が一般的。

 

 ローレライはこの下船場所の手前にありますが、「世界三大ガッカリ名所」と言われるほど、   横を通り過ぎるだけではただの突きでた岩で、他の岩とも区別がつきにくく、

「LORELEY」とあえて書かれた看板になるほどと笑いがこみ上げます。

 

 しかし侮ることなかれ、実はローレライの良さは下からではなく、

 上から見下ろした美しさなのです。

 どちらの岸の上から見てもため息がでるような景色。

 名所として名前が有名になる間に、

 本来のポイントが忘れられてしまった感じなのが残念です。

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2018年

10月

04日

秋の訪れを告げる「フェーダーヴァイサー」

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日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

 

ドイツでは、短い夏が終わって「フェーダーヴァイサー(白い羽)あります」の

看板が出始めると秋の訪れを感じます。

 

これは発酵中のブドウジュース(白)で、酵母を除去しておらず、

それがフワフワと舞うのが名前の由来です。

アルコール度数4%から売られ始め、その後も発酵が続いているので、

買ってから数日*で飲みきるのが一般的。

糖分がアルコールに分解する時に発生する二酸化炭素により、

瓶の蓋をしてしまうと破裂の危険があるため長距離輸送は困難です。

また、日本では酒税法によって発酵中の飲料を

売ることはできないため、出回ることはありません。

 

ワイン用のブドウは種類によって収穫期が異なりますが、

フェーダーヴァイサーは一番早く熟すブドウで作ります。

そのため、他のブドウが収穫期を迎える前に飲むことができるのです。

 

一方、今週はドイツにあるワインの13特定栽培地域(名産地)の中でも、

高級ワインで知られるラインガウ(リューデスハイムを中心とするライン川の北側の地域)

で、リースリング種**の収穫が始まりました。

生産者・醸造所にとって一年で最大のイベントの始まりです。

この2週間は寝る間を惜しんで作業に明け暮れます。

 

今年のドイツはとても暑かったため、この種のブドウの収穫時期としては早いそうです。

結局ワインの決め手になるのはブドウなので、その質と量に一喜一憂するものですが、

数件の醸造所で今年は稀に見る実りの年だと聞きました。

2017年のドイツワインは期待できそうです。

 

 

 

*ワインの発酵にかける日数は、かつては冷却設備がなかったため5日程度。現在は低温で芳香を逃がさないように発酵させるため30日余りかかる。発酵が早いと二酸化炭素の気泡が激しく発生し、芳香が一緒に逃げてしまう。

 

**ドイツでは「ワイン用ブドウの王様」と評される種類。

 

Y.A

 

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2018年

9月

21日

「なぜ日本人は鯨を捕るのか」

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

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ドイツで現地校に通う日本人の子どもなら、

動物愛護との関連で他の子から質問されたり

クラスで話題になったりしたことがあると思います。

 

捕鯨は日本の食糧確保に影響はないことから、

南極に出かけていって行う「調査捕鯨」は国際的に非難されており、

外国に住む日本人にも折に触れて提示される問題です。

 

伝統的に行われてきた沿岸捕鯨も漁の仕方が残酷であると言われたりもします。

捕鯨の規則に関しては、何世紀も鯨油のために捕鯨を行って

生息数を減らしてきた国々が主導して決めており、

政治的かつ感情的な問題が絡み合うものです。

 

個人的には需要と供給の関係から、長い期間をかけて

日本の捕鯨はなくなっていくのではないかと思っています。

現在はその過渡期にありますが、

かつてヒゲ以外のあらゆる部分を食べていた鯨食文化があったとはいえ、

日本の鯨食文化はかなり希薄になっています。

 

というのも、50年前の給食を知っている人ならいざ知らず、

今の子どもたちには鯨肉に対する懐かしさはなく、お目にかかることも少ない食材です。

実際のところ日本人の多くはもはやほとんど鯨肉を食べず、

消費量は長年減少し続けており、2015年の日本の鯨肉消費は1人当たりわずか30グラム。

さらに鯨肉の量が減っても需要が少ないため価格は上がらないそうです。

すなわち失われつつある食文化と言えるでしょう。

 

一方、伝統的な捕鯨の仕方が残酷であるという点については

改善の余地もあるかもしれませんが、

健康な動物の命を奪うという行為はそもそも残酷ではないかと思います。

 

ドイツにおける肉の一人あたりの消費量は過去20年間に渡り大きな変化はなく

年間約60キロです(日本人の一人当たりの年間食肉量はドイツ人の半分)。

ドイツの食文化では肉が多く、それは多くの動物が殺されているということになります。

しかし、その場合も「死に際して苦痛を与えていない」「畜産は人間が管理できる」

といった反論が上げられ議論はまとまりません。

一方、一国の食文化を短期間で変えるのは難しいというのは多くの人が理解できることです。

 

今回聞かれて困ったという子どもには、豚や牛を食べるのをやめてと言われたら

ドイツ人には難しくないかどうか聞いてみることを提案しました。

これからも日本人が行う捕鯨はドイツのクラスで話題に上がると思いますが、

子どもにも文化や立場の違いによる国際問題の深さを知ってもらう

きっかけになったらいいなと思います。

 

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2018年

9月

14日

個人としては躊躇するグローバル化

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

平成29年度の日本における在留外国人は約247万人で

今年は250万人を超えると考えられています。

そのうち東京都が占める割合は約20%。

それに愛知県、大阪府、神奈川県が続きます。

 

実際、東京でドラッグストアやフードコートに行くと、

外国人のアクセントのある店員が対応していることが多く、

オフィス街でも外国人と日本人が並んでランチに行く様子が見られ、

日常生活でもグローバル化が進んでいる印象です。

 

伊豆の別荘地でも外国人がちらほら見られますし、

海水浴場にも多くの外国人が見られます。

日本語を流暢に話す外国人も増えたので、

外国人が日本社会に浸透してきた印象を受けますが、

戦後上がり続けてきた国際結婚率は実はここ数年横ばいが続いています(約3%)。

 

離婚率に関しては日本人同士が34%であるのに対して

国際結婚では61%とかなり値が高く、

離婚後、双方による子どもの連れ去りも大きな問題もなっています。

日本人女性が外国人男性と一緒になるケースが多いのかと思ってきましたが、

統計を見る限りはその逆で日本人男性がアジア圏の女性と一緒になるケースが多いようです。

 

いずれにしても、近頃はネットで様々な情報が共有できることもあって、

現実的に考えて将来起こりうるリスクを回避したいと

思うようになっているのかもしれません。

 

「結婚してドイツに住んで約20年」と答えたとき、「すごいですねぇ」と言われ、

驚くポイントが何なのかが全く分かりませんでしたが、この統計を見た後、

リスクを検討することなく外国暮らしを始めてしまった

向こう見ずさに驚かれたのかと少々苦笑い。

思えば情報が少ないことで平和かつ決断しやすい時代だったのかもしれません。

 

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2018年

8月

31日

オリンピックまでに消えてしまう東京の風景

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

立ち飲み屋、畳屋、下駄屋、和菓子屋、駄菓子屋などなど、

東京にもまだ下町を感じさせる風景が残っていますが、

これは今後何年残していけるのでしょうか。

 

新しい物が建ってしまうと消えた街角の風景は思い出すことすらできません。

一度失われてしまった風景の再生は難しく、

今後オリンピック開催に向けて変わっていく風景に対し、行政の施策はあるのでしょうか。

 

ドイツでは第二次世界大戦で主要な都市の多くが爆撃を受けましたが、

それを再建している部分が多くあります。

文化保護指定された建物には修復に際して多くの条件があり、住むのは大変です。

 

地方自治体で修復費が拠出できないため修復を義務付けて

破格で売買される記念指定建築物もありますが、

いずれにしても簡単には取り壊して新しい建物を建てることはできません。

 

ドイツ人は「風景を維持する」ことに熱心ですが、

それはやはり法律で決められているからこそと言えるでしょう。

日本では爆撃を受けていない京都でさえ市中では昔の家屋は多くない印象でした。

石造と木造の違いは大きく、日本には地震の多い国という制約もありますが、

オリンピックでも日本らしさを感じてもらえる風景を残してもらえたらと思います。

 

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2018年

7月

06日

書き直しが難しいドイツの試験

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

ドイツの学校でも期末や数週間の休暇に近づくと試験があります。

 

日本では答案用紙に鉛筆で書きますが、ドイツでは万年筆やボールペンを使います。

書き損じた時には、取り消し線を引いたり、

インクを消すためのペンであるインクキラーを使います。

しかし、そのペンもキラーの名前の通り一回しか消す事はできません。

消した後は専用ペンで上書きし、その後でさらに修正したくなったら、

もはや取り消し線しか修正する方法は残されていないのです。

 

文章を書くときに言い回しや順番を変えたくなることはよくありますが、

書き直し自由かつ消し放題の鉛筆消しゴム文化で育った私などは、

一発勝負で文章を書くのはとても困難に思えます。

 

しかし、それもまた教育と訓練の賜物と言うべきか、

ドイツの子供たちは幼い頃から学校で慣れてきた方法に準じ、

大変だとぼやきつつも、論文形式の解答を求めることが多いドイツの試験で

数ページにも及ぶ文章を書き上げていきます。

それはすなわち書くことが整理されて起承転結がある程度できていないと難しい技です。

 

逆に整理して書き始めないと、量ばかり多くて支離滅裂、

質問や課題を無視して書きなぐるうちに時間切れ、という悲しい結末になります。

「課題にかすりでもしたら点数をあげたかったが‥」と教師がこぼすのを聞くと、

書く方も大変なら、それを採点する教師も大変だと思わずにはいられません。

 

いずれにしても、主旨のよく分からない文章を理解・整理して点数に変えていくという点では

ドイツの教師の能力は相当に鍛えられていることでしょう。

それは、機械的に作業ができず、1枚1枚の解答用紙に

向き合うことが求められるということでもあり、

論文形式の多さは個々は違うという前提に裏付けられた

ドイツを表しているような気もします。

 

ドイツ人は投げかけられた質問が相当おかしなものでも真面目に向き合い、

それなりに的に当たらずとも遠からずという回答を返してくる印象があります。

もしかしたら、それも消せない文字教育の成果の一つなのかもしれません。

 

Y.A

 

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2018年

6月

15日

中世の町を貫くディンケルスビュール、あっぱれ!

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設) 気になるテーマに注目!

 

ドイツで最も有名な観光街道「ロマンチック街道」は、

ドイツのヴュルツブルクからフュッセンまでを南北に結ぶ観光ルートです。

中でもハイライトとして知られるのがローテンブルクですが、

街並みとしてはディンケルスビュールの方が中世の雰囲気を色濃く残しています。

 

17世紀にドイツ語圏の人口が半分に減ったと言われる30年戦争(1618~48年)や

第一次大戦・第二次大戦を通じほとんど戦火を浴びていないという極めて珍しい街なのです。

旧市街の家屋の60%は500年、80%以上が350年以上前に作られた建物というから驚きです。

 

30年戦争以来貧しかったことや、現在までも電車が通っておらず

車でないと行きにくいことは、この町の雰囲気が守られてきた重要な要因ではありますが、

最大の要因はやはり市民の意識とそれを反映した市制であると思いました。

 

なにしろネオンや看板による宣伝は禁止、店名などは旧シュヴァバッハー文字

(ルネッサンスの三大発明の一つとされる活版印刷の父・ヨハネス・グーテンベルクが

使った書体)で書くことが決められています。

 

そのため美容室やケバブ屋でさえ外装の雰囲気は実に中世的。

外壁の色は基本的に個人の自由ですが、1800年以来「石の色にあるような色合いで」

塗ることが推奨され、「白」は避けるようにとなっています。

 

いずれにしても市が口を出してくることが多いそうです。

さらに言えば、屋根の色はレンガ色と決められており、

大通りの目に見えるところにアンテナを立てることはできず、

窓枠は木製でなければならず、電柱もありません。

 

車は必要な交通手段として市中に入ることが認められているものの、

馬車と同じ速度で走る原則になっています(馬車は全力でも20キロ/時程度だそう)。

恐らく夜になると家屋の玄関の灯りを頼りに歩くことになるのでしょう。

この徹底ぶりはすごい…!

 

「中世のドイツを感じたい」のであればローテンブルクよりも

むしろディンケルスビュールがお勧めです。

ちなみに中世のお城ということであれば、ノイシュヴァンシュタイン城ではなく

ゲーテ街道沿いアイゼナッハのヴァルトブルク城を訪ねてみてください。

 

Y.A

 

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2018年

5月

25日

スイスの「ベルン」と言えば「熊」それとも「バリー」?

「スイスの首都は?」と聞かれたら、国際機関が集まるジュネーブや

世界一コーヒーの値段が高いと言われるチューッリヒと答えたくなりますが、

実は人口14万人に過ぎないベルンがスイスの首都です。

 

首都であると同時に旧市街が世界遺産に指定されており、

川によってU字型に包み込まれた中世の面影を残す町並みの迫力は圧巻。

 

爆撃されて戦後の復興でつぎはぎになってしまった欧州の他の都市も

かつてはこのような面持ちであったかと思うと戦争の虚しさを思わずにはいられません*。

 

さて、ベルンの名前の由来は「熊(べアBär)」から来ているとも言われ、

町の一角の熊公園では熊が飼われています。

 

一方では、街を作ったツェーリンゲン公 がドイツ語では「ベルンハーディナー」と呼ばれる

セントバーナードに驚いて言いよどみ、「ベルン!」と言ってしまったところから

その名前が来ているとも言われます。

 

いずれにしても、ベルンの町を歩くと、あちこちに熊とセントバーナードのマスコットが

お土産として売られています。

 

ちなみに、スイスの人が「チーズやチョコと同じぐらい世界的に有名」と思っているのが、

スイスとイタリアの国境にあるサン・ベルナール修道院で飼われ、山岳救助犬として、

40人以上の人命を救って活躍したとされるセントバーナードの「バリー」です。

 

実際にはたくさんいた救助犬の一頭に過ぎなかったそうですが、

救助犬を代表して美談で生前から有名になり、最後は修道院を離れ、

首都ベルンで息を引き取ることになりました。

 

それゆえにベルンのマスコットは熊に加えてスイスの国犬とされるセントバーナード…。

 

体重100キロを超えることもあり体格の大きすぎるこの犬種は現在では救助活動に使われることがあまりなくなったそうですが、

やはり樽(中にはアルコール度数の高いラムやブランデーが入っています)を首から提げて岩肌に立つ姿はいかにも頼りになりそうな印象ですね。

 

今もスイスを代表する親善大使として大いに役に立っています。

「バリー」は12歳で死んでしまいましたが、その毛皮にはベルン自然歴史博物館でお目にかかることができます。

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2018年

5月

11日

ドイツで最も高い展望台:ロットワイルのテストタワー

世界初の旅客用エレベーターがニューヨークに登場したのは1857年。

それから160年の時を経て、従来のような垂直移動だけでなく、水平移動のできる次世代エレベーターが生まれました。

 

それが欧州最大シェアを誇るティッセンクルップが昨年2017年に発表したロープレスエレベーター「MULTI」です。

また、同社は同年10月に南ドイツ(ロットワイル)に高さ246mのテストタワーを落成しています。

 

テストタワーなので検査が行われている月曜から木曜は見学できませんが、

金曜から日曜は一般に開放されていて、ドイツで最も高い展望台(232m)から広大な黒い森を遙かに見渡すことができます。

 

風による建物の揺れを軽減するため、上部にバランスウェイトとして巨大な振り子が取り付けられています。

1500段以上の階段は慣れた作業員が駆け上がっても15分、エレベーターではわずか30秒で到着です。

12のシャフトを使って、秒速最大18メートルに達する新しい高速エレベーターや

世界初のロープレス・エレベーターシステムであるMULTIを含む製品パイロットのテストが行われています。

 

外観は緑の中に唐突に生えてきたツクシのようで、その異形は独特です。

風力発電の風車が目に入った時に受ける印象に似たものがあります。

 

アウトバーンから見えたので興味を引かれて行ってみましたが、

地元では面白いだけでは済まず、賛否両論あるようです。

 

確かにバーデンヴュルテンブルク州の中で最も古いロットワイルの旧市街から

その頭がにょきっと遠くに見えたとき、反対する意見が分かるような気がしました。

成長速度は5.6m/日で、最もよいコンディションで育つ竹の3倍

http://testturm.thyssenkrupp-elevator.com/bau-des-testturms/ 

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2018年

4月

20日

トリベルク:カッコウ時計とドイツ最大の滝

EUセンター:ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

 

ドイツには中程度の山岳地帯しかないためそもそも滝は多くありませんが、

「滝」という概念自体、平坦な地域では「滝」と呼ばれるものが勾配の強い地域では、

「急流」と呼ばれるなど、地域によって異なります。

 

ドイツ国内には約500か所の「滝」と呼ばれる場所がありますが、

そのうち約350件が南の2州(バイエルン州とバーデン=ヴュルテンブルク州)に属しています。

 

その中でも、ドイツ最長163mの滝があるのが、トリベルクというシュヴァルツヴァルト

(黒い森)にある人口約5000人の小さな町です。

 

電車でも車でもやや行きにくいのですが、シュヴァルツヴァルトの深部にあり、

「鳩時計(カッコウ時計)」の町としても知られています。

 

カッコウは、日本では漢字で「閑古鳥」と書くことから縁起が悪いとされたり、

語呂が悪かったりしたことで「鳩時計」に変えられた、日本独特の呼び方です。

鳴き声がカッコウなのでこれまで不思議に思った方もいらっしゃったかもしれません。

 

ちなみに鳴き声は一般的に止めることができ、

振り子式なので毎日もしくは1週間に一回程巻く必要があります。

 

セイコーのクォーツショックまでは腕時計も巻くのが当たり前でしたが、それも今はもう昔。

 

一方、戦後の日本で鳩時計がブームになった時期には日本製のものも作られました。

しかし、もう日本には職人がいないため、場合によっては修理も難しいこともあります。

 

ドイツのこの小さなトリベルクでは脈々と伝統が受け継がれ、

今も数多くの時計屋が軒を連ねています。

 

伝統工芸品とあって値段は安くありませんし、趣味性の高いものではありますが、

黒い森の雰囲気に流され、トリベルクで本場の本物を購入してしまう方も多そうです。

 

 

【見どころ】

●トリベルク滝

ドイツ国内最長163メートルで7段になっている。

https://www.schwarzwald.com/sehenswertes/triberg.html

●シュヴァルツヴァルト博物館

1936年に建設され、この地域の文化、生活、産業(鳩時計)、歴史を知るのに見ごたえのある博物館。

http://www.schwarzwaldmuseum.de/de/

●フォレストアドベンチャー(ザイルパーク)

森をそのまま利用して作られた施設でカラビナを使って安全に木から木を渡っていくスポーツで近年人気が高い

http://www.hochseilgarten-triberg.de/

●バードパフォーマンスショー

鳥たちの息を呑むデモンストレーションが体験できる。5月中頃にオープン予定。

https://www.greifvogelpark-triberg.de/

●市庁舎ホール

1926年に作られ、ふんだんに施された木製彫刻が美しい。

 

 

Y.A

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2018年

4月

06日

ドイツ人/日本人が出てしまう時

日本に一時帰国し、人混みでぶつかると思わずドイツ語で

「すみません!」と言ってしまうことがあります。

ただ、これは数日もすれば慣れるもの。

 

一方で、分かっていてもどうしても抜けない習慣というのもあります。

その一つが自転車に乗った時に手で方向指示をするドイツの習慣です。

日本では2015年6月に自転車に関連する道路交通法が改正されました。

しかし、まだしっかりと浸透してはいないのか、

手で方向指示をしている人をほとんど見かけません。

ドイツではこれをしなければ危険です。

クラクションの轟音で注意されることも十分考えられます。

そのため、方向を変える時は手を挙げて後ろの車両に知らせないと気がすまず、

日本でできるだけ目立たぬよう手を挙げて方向指示をする時、自分の中のドイツに気が付きます。

 

一方、長くドイツに住んでいても、どうしても日本人が抜けない場合もあります。

その一つが私宅に入る時には靴を脱ぐという習慣です。

ドイツでも家の玄関でルームシューズに履き替えることは多いのですが、

客である場合はよく「そのままで」と言われます。

また、家の中で工事や修理が行われる場合、作業をする人は土足で、

靴を脱ぐことはまずありません。

 

分かってはいても、家の中を土足で歩き回られると複雑な気分です。

これを何ともなく受け入れられる時は来るのでしょうか。

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2018年

3月

23日

3月22日は「世界水の日」

25年前の1993年に国連総会で3月22日を「世界水の日」とすることが決議されました。

 

この日ハイデルベルクの教育機関では町を流れるネッカー川の水を汲み、

数百メートル離れた場所の仮設プールに子どもが運ぶというプロジェクトが開催されます。

 

運ばれた水1リットルに付き1ユーロをハイデルベルク市で電気・ガス・熱・水道を供給する

公益企業が上限1000ユーロで寄付します。

 

世界では今も6億6000万の人が清潔な飲料水を確保できずにいるそうです。

この寄付金を使って発展途上国に井戸や水道管が敷設されます。

 

飲料水のために幼い子が場合によっては遠く危険な道のりを水汲みに行かされ、

学校にも行くことはできないという国は世界中にたくさんあります。

 

水汲みから解放されたら他の雑事に回されてやはり学校には行けないのではないか、

井戸をめぐる争いが起きるのではと逆に気になるところもありますが、

世界中の人に安心して水を飲む権利が認められなければいけないという

原則を忘れないために、こうしたプロジェクトによるアピールは大切です。

 

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2018年

3月

09日

ディーゼル車のイメージは「走る環境汚染」

ドイツの中古車仲介サイトでは最近目立ってディーゼル車が激安で販売されています。

 

ディーゼルの方がガソリンよりずっと安く、

長距離を走るドイツでは燃費と走行コストが重要なのでかつては人気でした。

 

しかし、2015年のフォルクスワーゲンによる

ディーゼル排ガス規制検査不正のスキャンダル以来、そのイメージは落ち続け、

今では「走る環境汚染」という印象です。

 

ドイツでは町への乗り入れを禁止することが、

この2月末に連邦行政裁判所で合法と認められました。

 

実際、緑の党が与党であるバーデンヴュルテンブルク州の州都シュトゥットガルトでは、

今年の元旦から特定のディーゼル車に関しては乗り入れ禁止が実施されており、

この流れは次第に広がりつつあります。

 

単純に町の中でディーゼル車を所有していた場合、

自宅に停められないのだろうかと考えてしまいます。

 

ディーゼル車は排ガスランクによって、

ダークブルーもしくはブルーのシールの装着が検討されており、

まさにレッテルを貼られる感じです。

 

当然いくら安くてもディーゼル車を買う気にはなりません。

もはや中古車としてドイツ市場で高く売れることはないでしょう。

 

ディーゼル車をここ数年で購入した人は、

精神的にも経済的にも被害を被ったことになるわけで、

国も自動車メーカーもその責任の一端を担っていると思わずにはいられません。

 

いずれにしてもフォルクスワーゲンのスキャンダルで現在までのところ

最も利を得たのは日本のトヨタという見方が濃厚です。

 

自動車業界の成長が3.4%であるのに対し、トヨタは欧州での販売台数が14%増、

ハイブリッド車は2017年に前年比45%の伸びを示しています。

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2018年

2月

23日

ケンタッキー・フライド…何?

イギリスに900店舗を展開するケンタッキーフライドチキン(KFC)が一部の店舗を閉鎖したことで、利用者に混乱が広がっているようです。

 

チキンがなければ他に揚げるものはないといっても過言ではないKFC。

 

ドイツ紙の報じるところでは鶏肉の配送において既存の業者から新規業者でより安い契約価格を提示したDHLに乗り換えたことで配送問題が発生したといいます。

 

個人的には、従業員でもなく、KFCの大ファンであったとしても永久に閉まるわけでもないのなら大した問題には思えませんが、大手のファストフードとして目立つ存在であることは確かです。

 

創設者カーネル・サンダースの人形は、実は日本発のオリジナル。

 

ドイツでもイギリスでも置かれていないため、知名度は極めて低いとはいえ(アメリカおよびフランスの一部で見られる)、KFC自体は2017年の宣伝広告ではラップで踊るニワトリで不愉快ランキングの上位になるなど、次々に話題を提供している感があります。

 

今回も閉鎖騒ぎで「11種のハーブとスパイスからなるオリジナルレシピ」の味を確認したくなった人もいるでしょう。再開の目処は立っていないため損失も大きいはずですが、当該地域外の店舗での売り上げは伸びそうです。

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2018年

1月

12日

フランクフルトのマツコ・デラックスorボーイジョージ?!

EUセンター:ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

 

ドイツにおける空の玄関フランクフルトはマイン川沿いにあり、

その川の南岸にザクセンハウゼンと呼ばれる地域があります。

 

石畳が残るこの地区は下町の居酒屋が軒を連ねているところです。

 

数が多いのでどの店にするか迷ってしまいますが、

私がお薦めしたいのは「エッベルヴォイ・ウンザーEbbelwoiUnser」というお店。

 

「エッベルヴォイ」というのはフランクフルト方言でアップルワインのことで、

郷土酒というべき存在です。

 

リンゴ風味の微炭酸でアルコール度数は5~7%、

酸味のあるすっきりとした飲み心地は、ドイツのどっしりとした郷土料理にもよく合います。

 

ここではビールではなくアップルワインを飲みましょう。

ベンベル(Bembel)という特別なピッチャー、ゲリプテス(Geripptes)と呼ばれる

菱形模様の入ったグラスを使うのもその特徴です。

 

見本市の時期ともなるとこの店はとても混むために相席は当たり前。

 

店内ぎっしりに座ります。サービスは早いので心配ありません。

そして、フランクフルトのマツコ・デラックスもしくはボーイジョージと形容すべき

半女装の店長もこの店の目玉の一つです。

 

金曜・土曜には唐突に歌を歌ってくれますが、絶妙な語り口に店内は多いに盛り上がります。言葉が分からなくても、ドイツ人が大いに笑い一緒に唄う姿は見られるはず。

 

ドイツの大衆居酒屋の雰囲気を感じたいなら、ぜひ足を運んでみてくださいね。

 

エッベルヴォイ・ウンザー

http://www.ebbelwoi-unser.de/

 

店長が歌う姿

https://www.youtube.com/watch?v=oUtVbES5wnA

 

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2017年

12月

04日

言わないとわからない、言えばわかるのがドイツ人?!

ドイツ人は会話において直球を好みます。

 

特にビジネスでは顕著ですが、早々に本題に触れ、問題を明らかにし、

解決方法を講じて結果を出していくので効率的です。

 

一方で言葉の裏を読むという感覚があまりなく、

言葉通り解釈するという傾向も強い気がします。

 

長年住んでいても解釈がいまだに難しいのが、手伝いを申し出た時にまま言われる

「Wenn Du willst(そうしたかったらそうして)」の一言。

 

例えば皿洗いをしている人や重い物を持っている人に手伝いをオファーした時に

時折返ってくるのがこの返事。

 

日本人だと「いいよ、大丈夫だから」あるいは「ありがとう、助かるわ」といった反応に分かれると思います。

 

そのため、こういった返答だと「どちらを期待されているのだろう…」と相手の意図を読もうとしてしまいますが、オファーした側の意思に委ねられた形なので、「(敢えて聞いた訳だし)じゃ…(自分の意思で)手伝うよ」という展開になります。

 

しかし、手伝わなくても恐らく相手が気分を害することはなさそうです。

 

そもそも手伝いが必要であれば、「手伝ってくれる?」と声をかけてくるのがドイツ人。

 

言わないとわからない、言えばわかるというのは、ニュアンスで話を進める傾向がある日本人にとっては交流する上で見えないハードルとなることがあります。

 

ドイツに住んで17年、ドイツ人と交流する上で、自らの意思に基づいた直球が相互理解への早道である気がします。

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2017年

11月

10日

16歳でお酒の飲める国ドイツ、いつから大人なの?

EUセンター:ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

 

ドイツにおいて16歳というのは大人への第1歩と感じられる年齢かもしれません。

 

なぜなら、16歳の誕生日を過ぎると一人でもビールとワインを飲むことが

ドイツ連邦共和国の法律で認められているからです。

 

ちなみに14歳の誕生日を過ぎれば保護者と一緒なら公の席で

ビールとワインを飲むことができます。

 

これも「お酒も煙草も二十歳から」の日本からすると驚きです。

 

外出時間に関しては、青少年保護法によって16~17歳の飲食店における滞在は午前12時から

午前5時までは禁止されているものの、ドイツの若者はよくそれを逆手に取って

「夜中0時までは法的に単独での外出が認められている」と主張します。

 

18歳が成人なので、誕生日を過ぎたらあらゆる種類のお酒が飲めるようになり、

学校の欠席届を自ら書くことができ、参政権(選挙権/被選挙権)や喫煙も認められるようになります。

 

ちなみにでは16歳のドイツ人が日本でお酒を飲んでいいかというと、

そういうわけにはいきません。

 

飲酒に関しては国籍に関係なく日本国内では日本の法律に従います。

 

一方で、16歳の日本人の場合、飲酒に関してはドイツではドイツの法律に従うことになるので飲んでも問題にはなりません。

 

しかし、日本人は概して若く見られることが多いので、

お酒を注文・購入する場合には身分証明書が必携であると思ってくださいね。

 

 

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2017年

10月

06日

続く日本食ブーム!アボカド・パクチー・ライム味のおにぎりはいかが…。

日本人として一品持ち寄りの際に必ずリクエストされると言っても過言ではない「SUSHI」。

 

日本食は健康に良いというイメージから日本食ブームは続いています。

材料費をあまりかけずに高級感が出せるのも魅力です。

 

一方、寿司に色々な種類があることはあまり知られていません。

 

寿司と聞いてイメージされるのはまず握り寿司・巻き寿司。

手巻き寿司、稲荷寿司、ちらし寿司はあまり知られていません。

 

よって、スーパーで売られるようになった「SUSHI」の多くも握り寿司と巻き寿司です。

 

しかし、鮪の代わりに赤パプリカ、キュウリの代わりに緑パプリカが巻物に入っていたり、

蛍光色のとびっこが周囲に着いていたり、

日本人なら購入を躊躇する要素が散りばめられています。

 

一方、日本のアニメや漫画で知られるようになったおにぎりも市民権を得てきました。

 

Alnaturaというドイツ大手オーガニックスーパーが、

全国の店舗でオーガニックおにぎりなるものを展開し始めたのは最近のことです。

 

値段はオーガニックを唄っているだけに1個約3ユーロ(約360円)とやや高め。

 

しかし驚くのは値段ではなくそのネタの奇抜さと言えるでしょう。

左から「サーモン&辛梅」「チリ・チーズ」「ジャパニーズ・ピーナッツ」

「パンプキン・セサミ」「サーモン&ワサビ」「アボカド・パクチー・ライム」と、

どれを取っても一捻りどころか、三回転ぐらい空回りしているようです。

 

よりにもよってなぜこのデュエット/トリオなのかという謎は深まるばかり。

切断面も今川焼風に具の多さが目立ちます。

 

実はドイツの子供におにぎりを食べさせると、

海苔も付けない塩にぎりが一番人気なのは日本人の間では有名な話なのですが…。

 

Alnaturaにはドイツに住む日本人主婦の皆様を対象に

おにぎりリサーチをすることをお勧めします。

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2017年

9月

15日

新学期と言えば、教科書に透明のビニールーシート

ドイツでは9月が入学式で新しい学年の始まりです。

 

新学年というと配布される新しい教科書を心待ちにしている子供もいますが、

ドイツでは全学年において教科書は少なくとも5年は使いまわすのが普通なので、

多くの場合は新しい教科書として使用感の濃厚なものが配布されます。

 

これに文房具屋で各自買ってきた透明のビニールカバーをかけて1年間使うのです。

 

表紙の裏側には「この本は○○市からあなたに貸与されているものです。

きれいに使ってください」と但し書きがあり、

使用者(子供自身)/両親のサイン/使用期間の記入欄があって、

過去に誰が使用したのか分かるようになっています。

 

また、破損が著しい場合は、受け取った時にすでに存在していた

汚れ・破損を別途用紙に記入しておかないと、自分がやったことになってしまい、

後で弁償する可能性がでてきます(実際には余程でないと請求されないようですが)。

 

子供からすると

「真新しい教科書は嬉しいけれど、扱いに気を使うので面倒、再利用教科書の方が気は楽」

なのだそうです。

 

真新しい教科書を配布することによって親や国にかかってくる経済的負担を考えれば

エコ大国ドイツのやり方は合理的。

 

しかし、10年近くも使い回して時事内容が古くなりすぎ、

「メルケル首相が女学生のようだった」という笑い話もあります。

 

いずれにしても、家庭においてはカバーをつけるために透明ビニールシートを購入しておく、

もしくは買った店でシートをかけてくれるサービスを利用するというのが新学期の恒例作業です。

 

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2017年

8月

25日

夏休みは次学年に向けたリセット期間

EUセンター:ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

 

 

「宿題や講習、部活があるなら、

そもそも日本では子供に夏休みがないって言うことかしら‥?」。

 

かつては「働きバチ」、昨今は「過労死」の言葉に代表される日本人の働く姿勢は

子供時代から形成されている、そう訝しむようにドイツの友人が放ったコメントです。

 

確かにドイツと日本では夏休みの捉え方が異なります。

 

そもそもドイツでは学年が9月から始まるため、学年を超えた宿題はなく、

よほどの例外でない限り、部活や講習で夏休み中に学校に行くことは、

生徒も教師もありません。

 

今年は子供の通う極めて一般的なギムナジウム(総合大学進学を目指す場合に通う日本では小学校5年生から高校卒業までにあたる学校)では、

日本で言うと高1から高2に進級するクラスの23人中8人が留年という現実でした。

 

日本では想像できないほど高い率ですが、

ドイツでは成績が振るわないクラスに時折起こる状況です。

 

クラスで数名は留年するのはむしろ普通です。留年は各学年において1回可能。

すなわち極端な話では各学年を2年ずつ修業していくことも理論的には可能で、

珍しい例にはなりますが4年遅れてアビトゥア(高校卒業試験)を受ける生徒もいます。

 

留年はその後の進路に絶大な変化をもたらすものではありません。

 

そのため、最初は進級できないことに落ち込んだ生徒も親も、夏休みを経て気力を取り戻し、

9月に新学期を迎えます。

 

夏休みは「休むための時間=リセット期間」というのがドイツの一般的な考え方でしょう。

 

一方、日本は学校も家庭も夏休みというと遅れを取り戻したり、

能力を集中的に伸ばすことに熱心であるようです。

 

良し悪しを判断することはできませんが、最終的に育つ能力に大差がないとしたら、

ドイツ式の方が親子ともども格段に楽なことには間違いありません。

 

 

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2017年

8月

04日

ポイントカードは持っていなくてはいけないもの?!

ドイツ在住者の財布に入っているカードの種類で多いのは、

1位が銀行のECカード、2位がクレジットカード、続く3位がPAYBACKカードだそうです。

 

ECカードはデビットカードと銀行ATMのカードが一緒になったもので、

PAYBACKカードはドイツの満足度ランキングでも総合1位のポイントカードです。

 

大手加盟店が多く、支払いの際に「PAYBACKカードをお持ちですか」とよく聞かれますが、

カードの有無に関わらず、後で出されると面倒なので聞いておいたという印象で、

無言もしくは「そうですか」という程度の反応が返ってきます。

 

一方、日本でも同様にポイントカードについて聞かれることはあります。

 

しかし、海外在住日本人は当然のことながら日本のポイントカードはあまり持っていません。

 

その旨を伝えると、日本では「失礼いたしました」と返答されることが頻繁にあります。

 

ポイントカードを持っていないという恥ずかしい事実を尋ねてしまったことを

謝罪しているような微妙な違和感。

 

思わず「海外に住んでいるので…」と言い訳をしたくなる瞬間です。

 

 

 

 

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2017年

7月

20日

イギリスのロイヤルファミリー、キャサリン妃とウィリアム王子のハイデルベルク訪問

EUセンター:ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

<今週は一日早いEUセンター便りです>

 

今から約400年前のことですが、ハイデルベルクには当時選帝侯であったプファルツ伯フリードリッヒ5世のもとにイギリス王家からエリザベス・スチュワートがお輿入れしたという歴史があります。

 

この度7月20日にウィリアム王子とキャサリン妃がハイデルベルクを訪問されることになりました。

そのためトラムやバスは通常の運行を停止、川沿いの道は歩行者も含めて通行止め。

旧市街の学校は通学路が通行止めになることから休校になるという大騒ぎです。

30℃以上という暑さも手伝ってハイデルベルクはお祭り気分で沸き立っています。

 

ドイツがんセンターの見学、「ケンブリッジ・フェスティバル」と銘打たれたカヌー競技の観戦も予定されており、市民もここでならロイヤルファミリーを一目見られるということで相当の混雑が予想されています。

 

ハイデルベルク公式サイトで正しい着こなしが紹介されているということは、着飾ってくる人もいるということでしょうか。

 

■ハイデルベルク・着こなし講座

http://www.heidelberg.de/hd,Lde/royaler+besuch.html

★現地ドイツ時間13:30-14:10(SWR南西ドイツ放送ライブ/日本時間20:30~21:10)Uhr 

http://www.ardmediathek.de/tv/live?kanal=5904

★現地ドイツ時間14:10-15:30(ARDドイツ公共放送連盟/日本時間21:10~22:30)

http://www.ardmediathek.de/tv/live?kanal=208

 

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2017年

7月

07日

ブルッフザール城 自動演奏楽器博物館

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

センターより、直の、今の情報を発信して参ります。

 

ブルッフザールはハイデルベルクから約30キロ。

 

小さいながらかつて宮廷都市だったこの町にはバロック様式の宮殿があり、

その中の自動演奏楽器博物館には約500点の自動演奏楽器が展示されています。

 

小さな町の博物館でありながら驚くほど充実しているのは、

これがバーデン州立博物館の分館だからです。

 

アデナウアーが所有していた自動演奏ピアノ、

仕上がりが遅れたためにタイタニック号に設置されなかったオルガン、無声映画セット、

バイオリン付き自動演奏ピアノなど面白いものが見られます。

 

かつて録音ができなかった時代、音楽はその場で消えてしまう貴重かつ高価なものでした。

 

一方で音楽を聴くために楽器を物理的に自動で繰り返し演奏するという発想は、

すでに紀元1世紀から確認されています。

 

その最終的な総合形がオーケストラの自動演奏「オーケストリオン」です。

 

基本構造としてはパイプオルガンと同じで、打楽器や笛、弦楽器に到るまで様々な楽器の音を空気圧で操作します。

 

手回しオルガンのようなピンの突き出た大きな円筒や、

ロール紙型のパンチカード等を使うことで様々な曲が演奏できます。

 

ジャズが流行した1920年代のドイツでよく使われましたが、

1920年代後半に登場した蓄音機、ラジオの放送が普及によって世の中から消えていきました。

 

この博物館ではレコードやCDプレーヤーもましてMPプレーヤーなどなかった時代の人々の

音楽に対する熱意が伝わってきます。

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2017年

6月

23日

好きなもの、40日間やめられますか?

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

センターより、直の、今の情報を発信して参ります。

 

四旬節は日曜日を除くイースター前日までの40日間です(日曜を含めると46日間)。

 

キリスト教徒にとってはイエスに倣う期間で、

伝統的に食事の節制と祝宴の自粛が行われてきました。

 

一方、近年宗教を問わずこの期間を好きなものを止める禁欲期間とする傾向があります。

 

著名人がその年に断念するものを宣言したことでこの流行は欧州全体で進んでおり、

イギリスのメイ首相も今年はポテトチップスを止めたそうです。

 

断念するものとしては、嗜好品や食べ物が多く、煙草や酒や肉、甘い物、

コーヒー、ポテトチップス、ジャンクフードなどが挙げられます。

 

一方で、コンピュータゲームやSNS、携帯、自動車、ラジオ・テレビ、ショッピングを

40日間断念する人もいるようです。

 

日本であればパチンコや麻雀などの娯楽、手軽な外食を断念するという手もあるでしょう。

 

ちなみに「40」という数字は旧約聖書の中で特別な準備期間を意味し、

モーセは民を率いて40年荒野を彷徨い、

イエスは公生活を前に40日間荒野で過ごし、断食したとされています。

 

節制に基づく四旬節に入る前に祝宴を行う習慣が、現在のカーニバル(謝肉祭)です。

 

自分が好きなもので、日常生活における登場頻度が高く、

我慢していることが意識でき、努力すれば断念できるもの、40日間やめられますか?

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2017年

6月

09日

ヨーロッパには2種類のヌテラがある

ドイツ人なら知らない人はいない、

ドイツの朝食には必ずといっていいほど登場するチョコレート風味の甘いスプレッド、

「ヌテラNutella」。

 

ヘーゼルナッツペーストをベースに、

砂糖、ココア、脱脂粉乳、香料、乳化剤などの材料を混ぜ合わせています。

 

その原形は、フェレロ社の創業者であるピエトロ・フェレロが、

1940年代に不足していたココアの代わりにヘーゼルナッツを使ったペーストでした。

 

最初の名称は、ジャンドゥーヤ(焙煎したヘーゼルナッツやアーモンド)の

ペーストPastaであるということから、「パスタ・ジャンドゥーヤ」。

 

後にこれを改称して「スーパークレマ・ジャンドゥーヤ」としましたが、

「Super」という表記を食品につけることが禁止されたため、

1964年には現在の「Nutella」に名称を再度変更しました。

 

Nutellaは造語でNut(ナッツ)とella(イタリア語での接尾詞型親称)を組み合わせて、

日本語のイメージとしては「ナッツちゃん」のような感じ。

 

ヨーロッパにおけるヌテラは実はレシピの違いによって2種類に分けられます。

 

ドイツのヌテラはよりココア成分を多く含み、艶に欠け、しっかりとした塗り心地。

イタリア・フランス・スペイン・オランダ・ベルギーなどは、艶があり、柔らかく、

南ヨーロッパで好まれるやや甘くナッツの風味をいかしたレシピとなっています。

 

これは多くのヌテラを大量に消費しているドイツ人が知らない事実です。

 

近年のヌテラで面白かったのはパッケージに個人の名前を入れるキャンペーン。

自分専用ヌテラのできあがりです。

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2017年

5月

26日

奇抜すぎるキャッチフレーズに教会がダメ出し

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

センターより、直の、今の情報を発信して参ります。

 

今年は宗教改革のマルティン・ルターが95か条の提題を発表した年から

500年とされる宗教改革記念年です。

 

ルターは神聖ローマ帝国皇帝のカール5世から召喚を受けたとき、

帝国議会で自説を撤回できないと言い切った後で、

かの有名なフレーズ「我ここに立つ。他になしあたわず。神よ救いたまえ。アーメン」を

口にしたとされます。

 

500年記念年に合わせて、デュッセルドルフの青年プロテスタント信者が

エイズ撲滅キャンペーンを企画しました。

 

ドイツにおいてはこういったキャンペーンでコンドームが配布されるのは

それほど珍しくありません。

学校で性教育の際に配られることもあります(性教育は生物の授業で扱われます)。

 

しかし、このパッケージにルターの言葉とされる「我ここに立つ。他になしあたわず」

あるいは「売春婦と聖人たちのために」がキャッチフレーズとして印刷されていたことで

騒ぎとなり、配布ストップ+回収の流れとなりました。

 

教会上層機関は老若男女問わず人の尊厳を傷つけているとする一方、

当事者は言葉の歴史的背景が分かるようにと

包装袋には解説ウェブサイトのURLが印刷されており、

教会離れが進行する中で

「これまでとは違う若いプロテスタント教会をアピールするものである」と主張しましたが、

最終的に外袋を廃棄して配布したそうです。

 

Y.A

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2017年

5月

12日

消防署が30人のドライバーを起訴

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

センターより、直の、今の情報を発信して参ります。

 

渋滞は辛いものです。

しかしそれが事故渋滞だと分かっている時にはどうでしょう。

 

消防車や救急車のサイレンが聞こえてきたら通常方向を確認し車をゆっくり停止して

これらの車両の通行を最優先する。

 

これは渋滞になっているドイツの高速道路でも同じです。

車は右に左に動いて緊急車両の救助通路を確保しなければいけません。

 

しかし先日、高速道路アウトバーンA5で30人のドライバーが

ヘッセン州の消防署によって通路確保を妨げたという理由から起訴されました。

 

彼らは速やかに道を空けるよう通告しながら通行していったパトカーを通した後、

その後に続き、これによって通路はブロックされ、

消防士は装備を持って800m徒歩で歩かざるを得なかっただけでなく、

注意をしたところ逆に文句を言われ失笑されたといいます。

 

消防士は怪我人の処置が済んだ後に停車していた30台の車の写真を撮り、

それをもとに消防署が30人を起訴しました。

 

本来利用できないはずの利点も利用するのが賢いとする風潮を映すような出来事で、

何とも悲しい限りです。

 

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2017年

4月

21日

ドイツのなるほど車事情

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

センターより、直の、今の情報を発信して参ります。

ドイツと日本、車に関わる違いをいくつか考えてみました。

 

左ハンドル、右側通行であることはさておき、すぐに目に付くのは「路駐」でしょうか。

 

車庫があると保険料が安くなるといったメリットはありますが。

車庫証明がなくても車を購入できるため、特に都市部では路駐が目立ちます。

 

次はタクシー(基本クリーム色)もバスもベンツが多いということ。

 

メルセデス・ベンツはある意味日本のトヨタに似ています。

総合自動車メーカーとして色々な車両を作っており、高級車専用メーカーではありません。

 

日本では価格的に外国車=高級車であることが多く、ベンツが高級ブランドのイメージ戦略で

売られていたという背景よるところも大きいと思いますが

(ドイツにおける呼称は一般的に「メルセデス」)、

バスにもタクシーにも「ベンツ」の車両はよく使われます。

 

一方、車全般に関してオートマ車を探すのが難しいというのも悩ましい違いです。

ドイツ自動車連盟ADACによると2014年時点でオートマ車の普及率は25%程度。

 

ヨーロッパ全般で普及率は低いとはいえ、ドイツにおける原因としては、

➀マニュアル車に比べて値段が高いこと

②燃費が悪いというイメージ

③オートマ車は機械に運転を任せてしまう車=運転ができない年寄り・女性・男らしくない

 男性の車というイメージがあること

があげられます。

 

最後に制限速度がなく無料の高速道路アウトバーンの存在も気になる違いかもしれません。

 

実際全距離の65.5%がは制限速度がありません。

交通事故を防ぐためにも130㎞の制限速度を導入すべきという考え方がありますが、

統計によると制限速度のある部分や町中で起こる事故の方が多いようです。

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2017年

4月

07日

ウォシュレットが普及しない背景

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

センターより、直の、今の情報を発信して参ります。

 

食事は体を維持する栄養を補給するため…。

車は速く安全に移動するため、

トイレは速やかに排泄物を廃棄するため…

 

補足的な機能は重視せず基本を大事にするドイツ人のぶれない姿勢は見上げたものですが、

オートマ車*やウォシュレット、冷蔵庫の霜取りなどについては

取り入れてみる好奇心や柔軟さ、快適なものを追求する姿勢が欲しいと長らく思ってきました。

 

ただ、ウォシュレットについていえば、最も重要なポイントは実は水質なのです。

 

ドイツでは各地で水質が異なります。

硬水の硬度が高い地域では洗濯機にも食器洗浄機にも

水に塩やカルキ除去剤などを加えないとパイプがカルキで詰まってしまったり、

故障の原因となることもあります。

 

ゆえにウォシュレットに対する多くのドイツ人の反応は

 

「だってやがては詰まるでしょ…?」

 

でした。

 

全般的に掃除が好きなドイツの主婦は、

水道の栓も蛇口周りもカルキを取り除く作業を怠りません。

 

水道水が軟水処理されていないので日常生活の様々な部分で取り扱いの難しい硬水と闘っているのです。

 

こういった家事作業がさらに増えることを考えたら、

ウォシュレットなしの方がむしろ快適なのかもしれません。

 

*ちなみに、オートマ車が普及しない原因としては、

 ➀燃費が悪いというイメージ

 ②オートマ車は機械に運転を任せてしまう車

  =運転できない年寄り・女性・男らしくない人の車というイメージ

 決定打として、

 ③マニュアル車に比べて値段が高いことがあげられるそうです。

 

 

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2017年

3月

24日

ウォシュレットを知らないドイツ…。

ドイツで和式便器を見かけないのはわかりますが、

温水洗浄便座も同じ位稀有な存在と言えるでしょう。

 

ドイツでもごく一部の高級ホテルにはあるそうですが、

欧州での普及率は現在でも1%に満たないといい、

過去20年で一度も見かけたことがありません。

 

日本で温水洗浄便座が売り出されたのは1980年。

今や日本の家庭では約8割に設置されているごく普通の設備ですが、

日本の「普通」は世界標準ではないことがわかります。

 

それはコンビニエンスストアやオートマ車も同じです

(ドイツではコンビニエンスストアにあたる24時間営業の店舗はなく、オートマ車は3割に満たない)。

 

外国人が日本に来て感動し、ぜひ持って帰りたいと思うものの一つが

温水洗浄便座だといいますが、簡単に持ち帰れるものではありません。

 

先日フランクフルトで開催された住宅設備見本市「ISH」には

日本のTOTOやLIXILグループも出展していました。

 

出展歴はまだ長くないようですが、現地在住の日本人は、

欧州におけるウォシュレットの普及を心から応援していると思います。

 

自宅に簡単に取り付けられる日を夢見ながら…。

次回はなぜドイツではウォシュレットが普及しないのかを考えてみたいと思います。

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2017年

3月

10日

ダイエット食品としての白滝=禅パスタ?!

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

センターより、直の、今の情報を発信して参ります。

 

コンニャクはコンニャクイモに含まれるグルコマンナンを糊化し、

アルカリ液(通常水酸化カルシウム水溶液を用いる)で固まらせる、

日本ではお馴染みの食品です。

 

95%以上が水分で、それを除くと主成分はグルコマンナンですが、

これは人の消化管ではほとんど消化されないため、

低カロリー食品として知られています。

 

一方、世界的な健康志向にともなって、白滝がイタリアでは「ZENPASTA」(ゼンパスタ)、

アメリカでは「Shirataki noodle」(シラタキ・ヌードル)の名称で、

ダイエットを意識したパスタの代用品として売られるようになりました。

 

同じヨーロッパでもドイツではアジアショップ以外では手に入らなかったものですが、

ここ1年程で一般的なスーパーにも稀に登場するようになっています(2ユーロ前後)。

 

硯型のコンニャクの普及はまだ遠そうですが、ドイツのアマゾンなどでも、

コンニャク粉(Konjakmehl)が売られるようになったのは、一定の評価に値するでしょう。

 

ちなみに250gのこんにゃく粉を使ってこんにゃくを作った場合、

9キロのコンニャクができあがる計算になります。

 

Amazonで売られているコンニャク粉

https://www.amazon.de/dp/B00WULXGV2?psc=1

 

↑↑↑

コンニャクを手作りする様子!

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2017年

2月

24日

ドイツはなぜ炭酸入りのミネラルウォーターなのか…

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

センターより、直の、今の情報を発信して参ります。

ドイツの水道水は衛生的には普通に飲んでも問題ありません。

 

しかしながら、大半の家庭は容器入りの飲料水(ミネラルウォーター)を使っています。

 

日本人にしてみると水道水が飲めるならなぜ飲まないのかが不思議ですが、

ヨーロッパではコレラなど伝染病の感染源が河川であったかつての歴史から

水道に対する不安が伝統的にあったことも要因の一つ。

 

さらに温泉を飲む飲泉の習慣があったことから(風呂として入るよりも

むしろ飲む方を重視)、水道よりも安全かつ健康的な飲料水として

19世紀以降ミネラルウォーターが普及していきました。

 

一方、ドイツのミネラルウォーターでは、家庭でもレストランでも「炭酸入り」が主流で、

スーパーの水売り場の水も炭酸水の方が多い印象です(炭酸ガス入りが8割を占める)。

 

同じように割合が高いのがオーストリア、一方で割合が最も低いのは、

炭酸水源の少ないスペイン(3%)となっています。

 

フランスの「ペリエ」やドイツの「ゲロルシュタイナー」は日本でも

知られるようになりましたが、炭酸水の種類は、

天然炭酸のものもあれば人口的に炭酸を加えたものまで、

メーカーも炭酸濃度も様々です

(場合によってはノンガスと記載されていても微炭酸のこともあり、

炭酸を抜く加工をしているものの元々は炭酸水というものもあります)。

 

炭酸水のシェアが高い理由としては、ヨーロッパには炭酸水源が多いことに加え、

いわゆる硬水(カルシウム塩とマグネシウム塩の含有量の高い)が多いヨーロッパの水でも、

炭酸が加われば飲みやすいことなどがあげられます。

 

口の中がすっきりする、あるいは子供の頃から慣れ親しんできた口当たり

(硬水はミネラル分が多いので癖がある)といった理由もあげられるでしょう。

 

いずれにしても、ドイツのレストランで「水」が自動的にサービスされることはありません。

 

単に「水」と注文した場合、あえて「ノンガスで!」と言わない限り、

炭酸入りのミネラルウォーターが出てきます。

 

よって、注文時には少し注意しましょう。

ノンガスの水は置いていないと言われた飲食店で「水道水」を出してくれるよう

お願いするのは、かなりのチャレンジです(大抵明快に断られます)。

 

スーパーで買う場合、日本人の口に無難なのはヴォルヴィック。

ヨーロッパでは珍しい軟水です。

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2016年

12月

16日

ボードゲーム大国、ドイツ

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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1980年代から発達したコンピューターゲームに反し、

ドイツのアナログタイプのボードゲームは独自の発展を遂げ、

「ドイツゲーム」とも呼ばれるようになりました。

こういったボードゲームの多くがドイツ人の作者、

あるいはドイツのメーカーによるものだからです。

 

特に1995年の『カタンの開拓者たち』のヒットから着実に市場は大きくなって現在に至ります。

「いまさらボードゲーム…?」と思われた方もいるかもしれませんが、

特にクリスマスの時期ともなると、ドイツ人の家庭では家族でボードゲームをすることが多いのです。

 

しかも、実は日本でも知る人ぞ知るブーム…。

ドイツ年間ゲーム大賞やドイツゲーム大賞における歴代の優秀作品は

確かに面白いものが多いと思います。

 

しかし、大賞には選ばれていなくても傑作ゲームはたくさんあるのです。

『ちょっと持ってHalt mal kurz』もその一つ。

ドイツで『カンガルー・クロニクル』などの著者として知られる

カヴァレティスト/ライターのマルク・ウーヴェ・クリング(1982年シュトゥットガルト生まれ)が

作ったゲームです。

 

ドイツのアマゾンではベストセラーなのですが、ゲーム大賞を取らなかったせいか、

日本語でネット検索しても、ゲームの名前はおろか作者名もほとんど出てきません。

このゲームの楽しさを日本の皆さんにもわかって頂くには、翻訳して一緒に遊ぶしかないのでしょうか。

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2016年

12月

02日

バター(コーヒー)を飲んでダイエット?!

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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ダイエット方法として不思議な提案がありますが、

ここ1年位で流行ったものにグラスフェッドバターを入れたバターコーヒーを

朝食に飲むというものがあります。ここでのちょっとしたポイントが、

牧草だけで育った牛の乳で作ったグラスフェッドバターを使うということ。

 

高山民族のバター茶が発祥といいますが、日本ではグラスフェッドバターとなると

250g無塩で1500~3000円(冷蔵送料を含まない)という値段で売られています。

ヨーロッパではバター250g程度であれば高くても3ユーロ(約370円)前後が普通です。

 

では、違う土地で育ったブドウからできたワインほど味が異なるかといえば、

その違いはあまり分かりませんでした。

どちらかというと「ナチュラルであること」に価値を置いたもので、

よほどこだわりがなければ普通に売られているバターでもよいような…。

 

日本への肉類持ち込みは禁止されていますが、

魚や肉類の混在しない乳製品は検疫を気にせず持ち込むことができます。

 

梱包においてハードルが少し高めですが、

バターコーヒーファンや試してみたいという方はお持ち帰りもいいかもしれません。

乳製品の美味しいフランスのメーカーとしてはエシレÉchiréやセーブルSévre、

グランフェルマージュGrand Fermageがあげられます。

 

(青木)

 

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2016年

11月

18日

ドイツのグミ:独特のフレーバーや形が面白いベーレン・カンパニー

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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ドイツの土産としてグミは有名です。

中でもHARIBO社は元祖にあたり*、どこのスーパーでも置いています。

 

袋詰めタイプであれば、カッチェスやトローリもメーカーとしては有名ですが、

ドイツ国内で20店舗を展開するベーレン・カンパニーは、

独特のフレーバーや形の面白さが最大の売りです。

 

グラスに入っていたり、ケーキ型になっていたり、

遊び心をくすぐるディスプレイに誘われて、

思わず店内に入ってみたという方も多いはず。

袋詰めタイプで私の一番のおすすめは本当に辛いショウガグミです。

 

いずれにしても、グミは1920年に子供の噛む力を強化して、

歯にかかわる病気を防ごうと作られたお菓子であるため、

今も日本のグミに比べると全体的に硬めとなっています。

 

(青木)

 

*ボンのハンス・リーゲルが果汁をゼラチンで固めたドイツ発祥の菓子で、

 

ハリボー社(Hans RiegelBonnの頭文字でHARIBO)を設立して販売された。

 

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2016年

11月

04日

一度食べたら忘れられない、ドイツで最も美味しい焼き立てプレッツェル

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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ビアホールにおける定番のつまみの一つが形の特徴的なプレッツェルです。

ソフトタイプとハードタイプがありますが、

いずれにしてもまぶされた岩塩を食べる直前に手で落として、

残った塩味を味わうのが一般的な食べ方。

焼く前にアルカリ溶液につけることで独特の茶色い色と風味が生まれます。

 

店によって味も形も少しずつ異なりますが、絶大な人気を誇るのが「ディッチュDitsch」。

ドイツ国内に200店舗あり、ここの焼き立てプレッツェル(70ct=約80円)を食べたら、

他の店のものでは満足できなくなるかもしれません。

 

ドイツに来たら、大きな駅には必ずあるのでぜひお試しください。

 

(青木)

 

1919年にマインツに設立されたパン屋ディッチュ。マインツで一番美味しいプレッツェルを目指し、

2代目の時代1970年代にプレッツェル専門店になり、3代目がファストフードとしてのプレッツェルに着目して販売網を拡大。

3代続いてきた家族企業だったが、2012年にはスイスのValonaグループに売却された。

現在も所在地・工場はマインツのまま。

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2016年

10月

21日

24時間営業のコンビ二、本当に必要ですか?

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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ドイツでは日本のコンビニエンスストアにあたるものが基本的にはなく、

日曜には普通の店舗も閉まります。

 

今日の法規制の基礎となっているのは、

戦後1957年に旧西ドイツで施行された「閉店法」です。

 

もともと閉店法は、キリスト教の安息日を維持すること、

労働者を保護すること、小規模小売店舗を保護することを目的として制定されました。

 

施行から30年以上経った80年代末に木曜日の営業時間が20時30分まで延長され、

2003年に土曜日も20時まで営業できるようになり、

さらに2006年には憲法にあたる連邦基本法の改正によって、

閉店法を定める権限が国から州へと委譲されました。

これにより、ドイツ16州の大半で平日24時間営業が認められるようになったのです。

 

この改定から10年あまり、実生活において日本のようなコンビニエンスストアは

大都市でも見かけません。

7時~0時までやっているスーパーが24時間営業と唄っている程度です。

日本人にとってはコンビニが存在しないことが信じられず極めて利便性が

低いように感じられると思います。

 

しかし、ドイツの消費者のライフスタイルには不可欠な営業形態ではないようです。

人件費が高く、アルコール飲料の販売が22時までに制限されている州もあり、

さらには警備に日本以上に費用をかけねばならないとなると、

夜中から明け方まで稼働させることのメリットが店舗側に少ないのも普及しない要因です。

 

個人的にはドイツでの生活を通じて24時間営業のコンビニの必要性は

あまり感じなくなりました。

そもそもすぐに手に入れる必要がある物はどれくらいあるのでしょう。

人の生活を長い目で見ると、利便性を限りなく追及する=生活の質が高い

というわけではないように思います。

日本のコンビニも本当に24時間営業する必要があるのかどうか、やや疑問です。

 

(青木)

 

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2016年

10月

07日

901㎏のカボチャ、ドイツ記録更新!

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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シュトゥットガルト近郊のルートヴィヒスブルクで第17回カボチャ祭りが

9月から開催されています(カボチャ展示数45万個、600種)。

 

世界最大のこの祭りの目玉の一つが10月2日の重さコンテストです。

全国から参加した25軒の栽培農家の中でも、

ヘッセン州出身農家の901㎏のカボチャがドイツ記録を更新して第1位に輝きました。

優勝賞金は1000ユーロ(約113,000円)です。

 

今年はカボチャの当たり年で種まきから収穫まで100日だったとのことですが、

2位の512㎏と3位の502㎏を大きく引き離す結果となりました。

1週間後には欧州杯が開催されます。

欧州記録は2014年の1054㎏。

この記録を書き換える重さのカボチャが現れるのでしょうか。

 

(青木)

 

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2016年

9月

23日

怖すぎるタバコの警告パッケージ

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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先日スーパーのレジ横に並ぶたばこの棚をみてぎょっとしました。

ホラー映画の宣伝かと見紛う警告パッケージのタバコがずらりと並び、

その衝撃は目を覆いたくなるほど。

表示は表裏とも3分の2を占め、一度見たら忘れられません。

 

世界的にタバコの健康被害が認識され、

警告パッケージは各国ですでに導入されていましたが、

欧州タバコガイドラインに基づき他のEU加盟国28か国とともに

ついにドイツでも5月20日より義務化されました。

そこから3ヶ月、この8月下旬に本格的にスーパーに並ぶようになったのです。

 

5月20日までに生産された警告メッセージのみのタバコは1年後に販売が禁止されます。

ドイツでは年間11万人の人がタバコの直接的な害によって死亡していると推定されています。

そういった数を踏まえ、企業の利権や国の税収よりも人命を尊重すべきとの考え方から、

すでに2010年には警告パッケージの導入が予定されていました。

 

しかし、国内でも物議をかもして今まで先延ばしされてきたのです。

今回の施行に際して、ある政治家が「毎日300人がたばこの害で死亡するのは止められないが、

若者300人がタバコを吸い始めるのを止めることはできる」と発言していたのが印象的でした。

 

(青木)

 

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2016年

9月

09日

2016-9-9分刻みで人間が描き直す巨大時計(アムステルダム/スキポール空港のラウンジ2)

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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「本当に時計の中に人がいるの?」 という声に振り向くと、

直径3メートル程の巨大な時計の中で人が動いています。

 

よく見ると半透明の文字盤の向こう側で動いている青いオーバーオールの人物は、

掃除をしているのではなく、1分毎に時分針を描き直していたのです。

 

この珍しい手描き時計は、オランダのアムステルダム/スキポール空港の

ラウンジ2で2016年7月1日から公開されるようになったもの。

オランダのデザイナーであるマーティン・バースMaarten Baas氏の作品です。

 

12時間分を撮影し、それを繰り返すことで24時間をカバーする映像パフォーマンスですが、

休むことなく淡々と消しては描き続ける姿に時の経つのも忘れてしまいます。

 

トイレや食事で休憩したら同じポーズから始めるなどして映像を上手く繋げたのでしょうか、

それともまさかストイックに12時間働き続けたのでしょうか。

 

時計の裏側を見ると、丁寧なことに同じく中が透けて見える窓のついたドアや手すりや

はしごがあり、実際に作業していると言われたら信じてしまいそう。

 

バース氏の”Real Time”シリーズの作品には「grandfather clock」や

デジタル版の手描き時計もあり、さらには別のシリーズとして粘土の質感たっぷりの

「クレイ・ファニチャー」や表面を焼いた家具”Smoke”シリーズなどがあり、

海外はもちろん日本でも注目されています。

 

(青木)

 

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2016年

8月

19日

ドイツでもポケモンGOの配信開始

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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Nianticが任天堂との提携で開発した『Pokémon GO』は、

位置情報を使って現実の世界を舞台に、ポケモンの捕獲・交換・バトルができる

スマートフォンゲームアプリです。

 

欧州でもフランスを除く26か国すべての連合加盟国でその配信が決まりました。

ドイツでもすでにGoogle Playの売上ランキングで首位を獲得し、

これにより配信国全てのApple StoreとGoogle Playで首位となっています。

 

一方で様々な問題も指摘されています。

一つは、「ポケストップ」というポケモンを獲得できる場所を捜索するために

屋根に登ったり、立入禁止区域に入ったり、

車や自転車を運転しながら操作したりというプレイヤー自身の

危険と周囲の迷惑に関わるもの。

 

もう一つは、アウシュヴィッツ(南ポーランド)や

ベルリンなどかつて大量虐殺が行われたり、

それを追悼するための施設が置かれたりしているところにポケスポットがあり、

ゲームに夢中になったプレイヤーが単なる舞台としてやってくるには

不謹慎であるという不適切な設置場所に関するもの。

 

これに対してポケモンブランドを管理する株式会社「ポケモン」では、

抗議のあった場所にはしかるべき対応を取るとしています。

 

一方で、このゲームには、運動量の少ないプレイヤーを外へ連れ出し

運動させることができる、あるいはポケスポットに

30分ポケモンが湧くようになる課金アイテム「ルアーモジュール」を使って

トレーナーの誘致を図ることができるといった利点もあります。

 

ドイツ・デュッセルドルフのジラルデ橋近くのファーストフード店では、

トレーナーレベルに応じて商品を無料にするといったサービスを提供したり、

ポケスポット周遊観光バスの運行を計画しているそうです

 

今後も世界各国で配信されていく予定の超大型アプリではありますが、

一つ目の問題については、プレイヤーに節度をわきまえて利用してもらわなければ

解決できないので、ぜひ個人レベルで適切な対応をしてもらいたいものです。

 

(青木)

 

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2016年

8月

04日

小児がんの子供のための自然体験キャンプ施設

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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ドイツでは自分の病気について知ることは子供でも当然の権利とみなされます。

そのため、子供がガンであった場合もそれを伝え、

向き合い方を教えてサポートする体制があります。

 

一方、闘病生活においては医師や親が判断する場合が多く、

人の判断に従い自分で決定できないことで、

自分を信じる力すなわち自信を持てなくなることが多いそうです。

 

2000年代に入ってこういった小児がんなどの子供たちを支援するための

自然体験キャンプ施設が各国で設立されるようになりました。

 

ドイツでは2003年に国立がん研究所やドイツ癌研究センターがある

ハイデルベルクに「ヴァルト・ピラーテン・キャンプDie Wald Piraten Camp

森の海賊キャンプ」が設置されています。

ここでは小児がんの子供やその兄弟・姉妹が約1週間親元を離れて

集団生活を送ります(収容体制46人)。

 

その活動内容は、水泳、クライミング、アーチェリー、ダイビング、カヌー、ハイキング、

窯焼きパン作りなど驚くほど多岐に渡り、実に魅力的です。

これに専門家による闘病体験や気持ちを伝えるコミュニケーションプログラムが加わり、

失望感や極度の不安と向き合う機会が設けられています(自由参加)。

 

この施設はドイツ小児がん協会の傘下にありますが、

1カ月半に一度というキャンプ開催頻度の高さに加え、

毎年の運営費約90万ユーロ(約1億円)がほぼ寄付で賄えているというのも驚きです。

 

死や病気など困難な状況に直面した子供に寄り添い正支えようとする試みは

日本でもありますが、公的機関が基盤となり社会全体で支える体制や

姿勢がさらに進んでいくことが望まれます。

 

(青木)

 

緑に囲まれたキャンプ施設
緑に囲まれたキャンプ施設

 

【関連サイトリンク】

http://www.waldpiraten.de/home.html

小児がんなどの難病をもつ子供のための自然体験キャンプ施設はアメリカ・カナダ・フランス・アイルランド・イタリア・ハンガリー・イタリア・オーストリアにあります。

 

http://www.holeinthewallgang.org/ (U.S.A)

 

https://www.barretstown.org/ (アイルランド)

 

http://www.boggycreek.org/ (U.S.A)

 

https://www.campgooddays.org/ (U.S.A)

 

http://www.dynamocamp.org/ (イタリア)

 

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2016年

7月

08日

裸で食事をするレストラン

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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6月にロンドンでオープンした世界初のヌーディストレストラン「ブンヤディBunyadi」は

43,000件の予約が入る盛況ぶりです。

ドイツのメディアで、同じくヌーディストレストランとして 7月下旬に

東京でオープンされる「アムリタTHE AMRITA」が報道されていました。

 

しかし、2店のコンセプトは同じようでいて著しく異なるようです。

まず、ロンドンの方のこだわりはあくまでも「自然であること」。

衣服という拘束からの解放=裸であると同時に、素焼きの食器に炭火焼のメニュー。

ロウソクの光に自分で割った薪で暖をとり、可能な限り自然かつ自由であることに近づくというものです。

電灯や携帯は使えません。コックや従業員も裸という徹底ぶりには、ヌーディズムの信念が感じられます。

5品ディナーコースで8000円強というお値段。内装もインテリアも食器も

「自然」をテーマに安く上がっているように見受けられます。

http://www.thebunyadi.com/

 

一方、日本のヌーディストレストランは、「自然回帰」をテーマに

オーガニックフードを使用したコース料理を提供とあるものの

第一義的にはマッチョなモデルのお兄さんを見るのが目的という印象。

女性を同伴せよとあるのもおかしなところです。

15キロオーバーによる入場制限(最低ランクで入場料14000円)があり、

その場合入場料の返金はなしというハードルの高さはむしろ笑いをそそります。

そもそもこのコンセプトの場合、ヌーディストでもない自らがあえて裸になる必要があるのかどうかも疑問です。

 

しかも、裸とは言いつつ実際には紙製の下着に着替えるとあって、逆に卑猥な印象が否めません。

ドイツでは「一風変わった日本的アレンジ」として注目された気がします。

http://www.theamrita.com/

 

ヌーディズム先進国と言われるドイツの場合、ミュンヘンやベルリンを始めとする大きな都市では、

裸で日光浴や水浴をするヌーディズム実践者のための公認のスペースがあり、

その気になれば裸など見放題です。サウナも混浴が基本。

 

すなわち、ドイツでは、裸=常に性的感情を刺激するわけではないと理解されているのですが、

日本だと、裸=露出行為=性的感情あり、という図式になってしまって、

一口に「ヌーディストレストラン」といっても印象もコンセプトも変わってしまうのです。

日本のヌーディストレストランが風俗の一部と理解されずに受け入れられるのか、今後が気になります。

 

(青木)

 

ブンヤディの内部の様子
ブンヤディの内部の様子

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2016年

6月

24日

ドイツ/ヘッセン州で最高の評価、フランクフルトのレストラン 「ラフルール(Lafleur)」

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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フランクフルトにあるドイツ最大の植物園「パルメンガルテン」は

現地在住日本人の家族連れもよく足を運ぶスポットです。

この一角にレストラン「ラフルール」があります。

 

このレストランは2015年11月にヘッセン州で最高得点である

ゴーミヨ18点を獲得してミシュラン二つ星に昇格しました。

シェフのアンドレアス・クロリク氏はフランクフルトの

他のミシュランレストランで修業をした、釣り好きな旧東ドイツ人。

5品コース(128ユーロ)の全てのプレートで演出される洗練された完成美は

忘れがたい思い出になります。

 

5品以外にも前菜の前に2品、デザートの後にも1品ついて、

お得感があるのも嬉しいところ。

デザートのチーズは20種類から選ぶことができ、

ワイン担当の方が全て簡単に説明してくれるのがありがたかったです。

 

本当なら全部少しずつといきたいところですが、

「4‐5種お選び頂くのが一般的ですよ」と先に声をかけてくれたので、

恥ずかしい事を言わずにすみました。

 

(青木)

 

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2016年

6月

10日

グッテンベルク城の鷹狩りショー

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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ハイデルベルクから古城街道を辿ってネッカー川沿い上流に45㎞ほど行くと、

ハスマースハイム(Haßmersheim)という町があり、

ここに12世紀に建造され戦禍に合ったことがないという堅牢かつ珍しいお城、

グッテンベルク城があります。

 

600年前から現在に至るまで男爵一族が住んでいる一方、

猛禽類の繁殖、飼育を行なっており、鷹狩りショーで知られます。

頭をすれすれに飛ぶ白頭鷲は圧倒的な迫力。

 

車でドイツを旅するなら、ハイデルベルクを足場に一押しの

エクスカーション・スポットです。

 

(青木)

 

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2016年

5月

27日

500ユーロ札は2018年末で廃止

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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ドイツ・フランクフルトにある欧州中央銀行が500ユーロ札(約6万1000円)を

18年末で発行停止することを決めました(2016年5月)。

その後も使い続けられますが、500ユーロ札かねてより高額すぎると指摘されていたのです。

これまでも触れたことがないという人は多く、もう接触する機会はないかもしれません。

 

今回の決議は、テロや犯罪の資金源と繋がるマネーロンダリングを阻止するためと

発表されています。

ドイツでは現金支払いの上限がなく、現金への信頼が厚いことが窺えますが、

実生活では、200ユーロ(約2万4000円)札は偽札が横行したために出回っておらず、

緑色の100ユーロ(約1万2000円)札も小さな店舗では受け取りを嫌がるのが普通です。

 

よって、最も頻繁に使う高額紙幣はオレンジ色の50ユーロ札。

ゆえに通常の生活に影響はありません。

 

(青木)

 

紫色がきれいな500ユーロ札、在住16年で一度手にしたことがありますが、使えるところがないので銀行ですぐに両替してもらいました。黄色の200ユーロ札は偽札が多い事で知られ出回っていません。100ユーロ札は検査機がレジにない店では受け取ってくれないことがままあります。


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2016年

5月

13日

ドイツ、変化する家族の概念

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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「レズビアンの先生に子供が生まれましたが、実際には彼女は生んでいない。

出産祝いの言葉をさてどうするか…」と戸惑い顔の校長先生。

最終的には「“パートナーの”ご出産おめでとう!」という形に落ち着いたそうです。

 

ドイツでは2001年から同性カップルの婚姻が認められ、

当時はその結婚式もニュースになったりしたものですが、

もはや通常の家族形態の一つになっています。

 

2010年の連邦統計局の統計によると自由回答の形で

23,000組の同性カップルが入籍しており、

実際に同性カップルはよく見かけるため社会において

異質な存在ではありません。

 

女友達と互いの子供を連れて娯楽施設に行ったら、

「同性カップルと同じ扱いだから、家族チケットを買えばいい」と

チケット売り場のお姉さんにアドヴァイスされたこともありました。

 

しかし、養子についてまだ「夫婦」と同格ではありません。

女性の場合は意思があれば出産できますが、

男性の方はまだ遠い道なのだろうと思います。

 

 

(青木)

 

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2016年

4月

15日

ノイシュタットのぶどう畑

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ワインの在庫がなくなると半年に一度くらい

車で1時間程のプファルツ地方に買い出しに行きます。

山地を越えればあちらはフランス、こちらはドイツという地域でワイン産地の一つです。

 

スーパーで安いものなら2ユーロ(約250円)以下のワインもありますが、

家で丁寧に飲むワインは4~8ユーロ(約500円~1,000円)程度。

作っている人の顔や畑が分かるというのは安心感があります。

 

ちょうど今は切り揃えた枝を固定する作業が行われていました。

テイスティングをすると同じぶどう種でも香りも味も異なるのが分かります。

味に決定的な要素は土。

地中に深くはった根から取り入れられるミネラルによって味も香りも変わるのですよ

と、土の見本を出してきて違いを説明してくれました。

 

いわゆる当たり年というのがあり、去年2015年はとても良い年だったそうです。

日本でもヨーロッパ/ドイツのワインを選ぶ時に収穫年をちょっと気にしてみて下さい。

 

(青木)

 

一本だけ残した枝を針金に結びつける作業がブドウ畑で行われていました。

おじさんはまだ寒い10度前後の外気の中で日差しを浴びながらポータブルラジオで番組を聞き、

一人黙々と作業を続けていました。

★おすすめワイナリー、ドイツ語のみのサイトでごめんなさい!

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2016年

4月

01日

バーデンバーデンで風呂の違いを実感

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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ドイツきっての温泉地バーデンバーデン。

2000年前のローマ人の浴場遺跡があり、

今も70度近い鉱泉が12カ所からこんこんと湧いています。

 

二つある入浴施設のうちフリードリッヒ浴場はスパがメインで基本は裸、

週の半分は男女混合です。

17のステーションを廻るのでは随分時間がかかると思いきや、

水風呂やお休み部屋もステーションに数えられているので

実際には5ステーションぐらいの感覚。

 

驚いたのは最高水温の風呂が36度、それ以外は高くても34度という現実です。

見せどころの一つになっているルネサンス様式の天蓋の円形風呂は25度前後とあって、

腰まで入るのが限界でした。

9割がた36度のお湯に浸かっていましたが、

時を同じくして入ってきたドイツ人女性が10分程度で

「もう暑くてダメ、私でるわね」とふうふう出て行った時、

平均体温と風呂の習慣の違いを実感しました。

 

(青木)

 

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2016年

3月

18日

ドイツの病院食がすごい…

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

センターより、直の、今の情報を発信して参ります。

 

ドイツの病院食がすごいというのは聞いたことがありました。

しかし事実は小説より奇なりで、実際に目の当たりにすると迫力があります。

 

ゲルマン系の民族の食事は命を繋ぐためのもので、

楽しむものではないと言う話は本当かもしれません。

 

日本の栄養士さんに「肺炎で入院した食欲のある患者さんへの給食」という観点から

写真をご覧頂き、コメントをお聞きしてみたいものです。

 

ヨーロッパに「お弁当」という習慣はありませんが、近頃流行ってきていて、

弁当箱やキャラ弁づくりのグッズが売れています。

日本の給食やお弁当を紹介する動画も多くなってきています。

日本が世界に誇るべき文化は色々ありますが、「美味しさ」と

「見た目の美しさ」に対するこだわりは、ドイツもぜひ日本に学んで頂けたらと思います。

 

(青木)

 

【番外編】

ちなみにドイツでは夕食は冷たい物で済ませる習慣があります。

我が家は基本的には夜にも暖かい物を食べますが、

半年に一度位ドイツ的な夕食をとなるとこのような感じです。

 

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2016年

3月

04日

ドイツ人にウケやすい食べ物とは… ~今後のブレイクが期待できる日本のお弁当ボックス~…

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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お客様をお招きした時、照り焼きや焼き鳥などを出すとほぼ例外なく喜ばれます。

すなわち照り焼きのタレは一般的にドイツ人の味覚に合うのでしょう。

 

寿司は世界的な流行りかつ健康志向によって認知度も高いのでまず失敗はありません。

一方で気味悪がられる傾向にあるのはお好み焼きやたこ焼きなど水分の多いもの。

子供はおにぎりが好きですが、海苔も中身もない塩にぎりが一番人気です。

唐揚げなど分かりやすい食材であればよいのですが、昆布や梅干しなどを入れてしまうと、

その後おにぎりを警戒するようになる可能性があります。

 

一方、ドイツには日本のようなお弁当の習慣はありませんが、

これは漫画や折り紙のように日本が自信をもって世界にアピールできるユニークな文化です。

 

最近欧米ではお弁当という概念が広がってきており、

日本のお弁当ボックスを海外で売るというビジネスが流行ってきています。

 

(青木)

 

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2016年

2月

26日

海外の家庭は自家製の食べ物がいっぱい…

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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米や醤油などの調味料は海外でも楽に手に入るようになってきました。

 

しかし、カレールーが5ユーロ(約650円)、納豆3パック3.5ユーロ(約450円)となると、

日本で買える値段の2~3倍となり日々使うには手が出しにくいものです。

それゆえドイツでは、納豆やあんこやもやしなどを手作りする人が意外に多いのです。

大豆・小豆・緑豆が有機食材のお店で比較的簡単に手に入ることもその一因でしょう。

餅(パン焼き器の餅つき機能を使用)、節分の炒り豆、かまぼこ、豆腐、道明寺の桜の葉、

ラーメン麺、カレーパン、あんパン、メロンパン…。

 

日本に一時帰国される方へのご挨拶が「美味しいもの食べてきてくださいね」

というところに、海外に住む日本人がいかに日本食に恋しているかが窺えます。

 

(青木)

ドイツ在住日本人がよく使うオンラインショップ「松竹」

みりんは600mlで約10ユーロ(1300円)とあって

貴重な食材…。


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2016年

2月

05日

薄切り肉を探す海外暮らしの日本人…

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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ロンドンやパリと言った大都市ならともかく、海外で暮らしていると

日本で一般的に売られている食材を手に入れるのは場合によって困難です。

 

よく聞くのが、「薄切りの肉がない…」という問題。

2キロの肉のかたまりを手に入れるのは造作もありませんが、

200グラムの薄切り肉を手に入れるのは時に困難を極めます。

肉屋では後ろが透けて見えるぐらいに薄く切ったハムやチーズが

売られているので技術的には可能なのです。

 

しかし、「薄切り」と注文しても「日本人の望む薄さ」のイメージがないため、

厚さ3mm~5mm。しゃぶしゃぶはおろか焼き肉にしてもかなり厚い。

しかも「できれば1mm位で…」とお願いしているうちに苛立った店員が怒り出し、

結局は納得のいかない厚さで妥協した…よく聞く話です。

 

それゆえ薄切りスライスを嫌な顔をせずにしてくれるお店は日本人の間では

口コミで知られるようになります。

もう一つの策は、半解凍した肉をパン用スライサーで自ら地道に切るという方法。

海外で日本の食卓を再現するには何かと時間がかかります。

 

(青木)

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2016年

1月

22日

ケルン、1000人規模の女性襲撃事件

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2016年のドイツは緊張で始まりました。

 

ドイツ全土で大きな波紋を呼んでいるのが、

大晦日の深夜のケルンで、

主にアラブ系や北アフリカ系のドイツ語を話さない若い1000人以上の男性が

10代から20代の若い女性に集団で暴行に及んだという事件です。

 

酔っ払った状態であったとはいえ、強姦・強盗を含む常軌を逸した行為が

大集団で起こる可能性は、警察が機能しているドイツ社会では想像しにくいものでした。

 

相当数の人間が関わる事件であるにも関わらず、報道され始めたのは4日になってから。

 

それは人数が多くて犯人を特定しづらいだけでなく、「難民受け入れ=善」のイメージを

覆すことになる事件であるため慎重であったことも窺えます。

 

難民の数に比例するかのように、空き巣やスリの犯罪件数は増え、

防犯装備の売り上げは急上昇。

難民というテーマがニュースに上らない日はありません。

 

年明けのドイツでは難民受け入れ路線の変更を求める声が大きくなっています。

 

(青木)

 

 

 

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2016年

1月

08日

時代はエコからエシカルへ ~ ドイツの消費動向における変化

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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クリスマスの時期は買い物をする機会が増えます。

これまでは欧州でも一般的には低価格・高品質が求められてきました。

 

しかしドイツの商品を見ていると、2010年代に入って

フェアトレードの食品が大手スーパーで簡単に手に入るようになって以来、

環境や社会に配慮した工程・流通で製造された商品を選ぶ、

いわゆるエシカルコンシューマリズムがファッション分野でも普及してきています。

オンラインショップの普及によって企業にとって販路が広がると同時に

消費者も色々選べるようになったからでしょうか。

 

時代はエコからエシカルへ、ゆっくりではありますが進んでいます。

主義を声高に主張しなくても、良心の呵責を伴わない製品を

多くの人が楽に手に入れられるようになることを期待します。

 

(青木)

 

※エシカルコンシューマリズム

「環境や社会に配慮した工程・流通で製造された商品を選択し、

そうでないものを選択しない」という消費活動である。

エシカルコンシューマリズムの内、最も注目されている商品カテゴリには、エシカルファッションが挙げられる。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/02/20 04:23 UTC 版)

フェアトレードの食品

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2015年

12月

25日

ドイツ人にとってのクリスマス

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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ドイツ人にとって、待降節における一番大事な伝統は

アドヴェントクランツ1を用意してクリスマスまでのカウントダウンを始めること、

クリスマスで最も大事なのは家族と過ごす時間だそうです。

 

クリスマスにかかるドイツ人の平均的な出費は274ユーロ(約3万8000円)。

この時期はストレスだと公言するドイツ人は多いものの、

実際なくなればいいと思っている人はわずか3%です。

ドイツ人の10%はなぜクリスマスを祝うのかを知らないという統計がありますが、

とにもかくにもクリスマスは深く愛されています。

 

クリスマスまで1カ月間続くクリスマス市ではグリューワイン2が5000万リットルも消費され、

イブに向けて雰囲気は最高潮に高まります。

24日の夜は伝統的にウインナーソーセージとポテトサラダで軽めの夕食です。

25・26日と続く祝日には食べることが多いので、

日本人にとってのお正月と同じく「クリスマスで数キロ太った!」と

叫ぶドイツ人は多いものの、実際には平均370gしか増えていないところをみると、

心身共に満たされた感覚から来る発言なのかもしれません。

 

(青木)

 

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2015年

12月

04日

待降節のロンドンは鮮やか…

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ドイツでは11月半ばに各都市にクリスマスツリーが飾られ、

23日前後からクリスマスマーケットが始まります。


5時には暗くなるためイルミネーションの灯りが眩く、

見慣れた風景が急にロマンチックに見えますが、

ロンドンのイルミネーションはドイツのそれよりも格段に垢抜けていました。


特に目を引くのはF&M、ティファニーやカルティエのある

オールド・ボンド通り、百貨店ハーヴェイ・ニコルズです。

イギリス全般ではドイツのようなクリスマスマーケットはありませんが、

ロンドンではこの時期だけ「ウィンター・ワンダーランド」なる

大規模なクリスマスマーケット+移動遊園地がハイドパークに出現します。

この中にドイツ村が再現されていますが、ドイツ・ソーセージとビールのお値段は

普通のドイツ価格の倍近く…。

英国・ロンドン、そしてスイスでは欧州における物価の違いを痛感します。


(青木)

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2015年

11月

06日

10月31日はプロテスタントが休み、11月1日はカトリックが休む

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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10月31日はマルティン・ルターが宗教改革を始めたことを記念し、

ドイツのプロテスタント信者が多い一部の州では宗教改革記念日

という祝日になっています。


1517年(室町(戦国)時代)のこの日にマルティン・ルターは

ヴィッテンベルク城教会の扉に議論を呼ぶための『95ヶ条の論題』を貼り出した、

とされていますが、そもそもラテン語で書かれ、

一般人でラテン語が読める人は少なかったため、その真偽は疑問です。


しかし17世紀から19世紀にかけて当時プロテスタントだった領邦国家では

この日を記念日とし、それが今まで続いています。

カトリックがかつて優勢であった州はこの日は祝日ではありません。

代わりに11月1日が諸聖人の日で祝日となっており、

バランスは取れていますが、商店も合わせて閉まるため、

お出かけ先が州をまたぐ場合は注意が必要です。


(青木)



●ルターはルネサンス絵画の巨匠クラナッハと仲が良かったこともあってか肖像画が多い


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2015年

11月

06日

ドイツのハロウィンは日本よりも控えめ…?

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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10月31日はカトリックの諸聖人の日の前夜祭で、いわゆるハロウィンの日。

夕飯時にチャイムが鳴って扉を開けると、

仮装をした子供が「ズューセス・オーダー・ザウレス!(Süßes oder Saures)お菓子ちょうだい、

じゃないと嫌がらせするぞ」と言い放ちます。


しかし、嫌がらせとして卵を玄関先にぶつけていくという不愉快なタイプもあるため、

雨戸を閉め、玄関の灯りも消して居留守を使ってしまう家が多いのです。


ドイツ人の友人達が「うちもそう!」と声を揃えたところを見ると、

ドイツでも特にプロテスタントが多い地域のハロウィンは下火…。

お祭り好きな日本の方がよほど盛んかもしれません。


(青木)


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2015年

10月

09日

現代に生きる中世の防災術

  EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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ドイツで日照時間が最も長く、最も暖かい町フライブルク。

ドイツ西南の大学都市で活気ある町の雰囲気に

花を添えているのが、旧市街の至る所に流れる水路

「ベッヘレ」です。

 

中世からあり火事の際に水をせき止めて消火するため、

というから驚きます。

 

今や火事をこれで消すことはありませんが、

子供がおもちゃのボートを繋ぎ、

暑い日には足水のために人々がのどかに並んで座る姿が

見られる、フライブルクのシンボルのひとつです。

 

(青木)

 


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2015年

9月

25日

ロシアスーパーで見かけたスイカの漬物

 EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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ドイツにはロシア人系の移民も多く、

ロシアの食材を取り扱う大型ロシアスーパーがあります。

食材には加工した魚も多く、

キムチやおつまみのイカの燻製も扱っており、

品揃えと商品のデザインに普通のドイツスーパーでは

見られない特色があります。


中でも赤い部分がついているスイカの漬物は

日本人にとってはやや衝撃的です。

皮だけなら日本でも漬物にしますが、

赤いところが加わっただけで味が想像できなくなります。


さらに粘土そっくりの物体はヒマワリやゴマなどの

油脂と砂糖を使ったお菓子「ハルヴァ」。

羊羹のようにお茶受けにするようです。


作物の収穫期が限られたロシアでは保存食が発達し、

アジア的な食材も多いことを知りました。

機会をつくり、ロシアセンターと意見交換をしてみようと思っています。

いずれにしても、日本に住む外国人にしてみれば、

日本にある謎の食材の数は数えきれないに違いありません。


(青木)




スイカの漬物


ヒマワリやゴマなどの

油脂と砂糖を使ったお菓子「ハルヴァ」


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2015年

9月

18日

数千人の難民、ミュンヘンに至る

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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EUでは難民が最初に到着した国が難民の登録や

一時的な受け入れをすることになっていますが、

処理不能との判断からハンガリーが24時間登録を棚上げしたことで、

難民は受け入れに寛容であるとされているドイツに向かい

ミュンヘンだけでもその24時間で1500人もの難民が押し寄せました。

その大半の出身国はシリアおよびアフガニスタンと考えられています。


バイエルン州には全体で連日平均2000人の難民が入ってきており、

ドイツ全体では今年中に80万人の難民申請が予想されています。


国内では市民による物資援助や募金活動が行われ、

メルケル首相をはじめ各州も人道的な対処を強く呼びかけていますが、

一方では今年に入って難民排斥事件が急増しています。


難民は不足する労働力を補うため歓迎すべきとの見方もありますが、

彼らが社会に対応できるようになるまでには語学講座を始め

時間と資金がかかるのも事実。


待ったなしの危機的状況にある難民問題にどう対処していくのかは、

水際のギリシャやイタリアのみならずEU全体に関わる最大の課題です。


(青木)




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2015年

9月

04日

ドイツに欲しい日本の物とサービス

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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一時帰国すると日本の便利さに驚きます。

24時間物品が買えるコンビニや自販機を筆頭に、

平日はもちろん昼休みも日曜もなく開いている商店、

時刻表通りに運行される交通機関、快適な公共トイレ、

品数の豊富な駅のキオスク、バラエティー溢れるフードコート、

どこでも無料で飲める飲料水など枚挙にいとまがありません。


すなわちドイツをはじめとする欧州各国にこれらのものは

基本的にないということです。


日本に住んでいると日本の便利さに気付きにくいものですが、

特に食べ物の美味しさや文房具の質は格別で世界ランキングがあったとしたら、

日本はダントツ1位だと思います。


(青木)

極めて合理的に商品が並べられている日本のキオスク

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2015年

8月

28日

自由を求め、壁を越えようとした人たち

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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ベルリンの壁の一部(2015年夏撮影)
ベルリンの壁の一部(2015年夏撮影)


日本の終戦記念日である8月15日は、

28年に渡って東西ベルリンを分け、

東西冷戦の象徴であったベルリンの石壁が

作られ始めた日でもあります。

かつてベルリンを東西に分けていたベルリンの壁。

それは東ドイツ地域にあった西ベルリンを囲い込む形で、

西ベルリンは東京都にすれば区部よりも少し小さい程度でしかありません。


1961年8月13日の夜中、予告なく東西ベルリンを結ぶ

68本の通りが封鎖されて有刺鉄線が張られ、

午前6時までに通行はできなくなり、

2日後の15日に石壁の構築が始まりました。


このわずかな時間を友達や家族と共有しなかったことで

生涯会えなくなるという状況を私たちは想像できるでしょうか。


壁が1989年11月に崩壊するまで無数の人が再会や自由を求めて

西ベルリン側に逃亡を試み、

知られているだけで138人が命を落としました(138人の内100人が逃亡者、

30人が事故死者、8人は国境警備隊兵士)。


(青木)

ベルリンの壁 ビデオクリップ

ベルリンの壁に関する動画を包括的に集めたサイト。 

英語の吹き替えがある。

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2015年

8月

07日

コルマール(アルザス地方)~ドイツ風フランス

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ドイツと国境を接する

フランスのアルザス地方は、

かつては神聖ローマ帝国

(現在のドイツ、オーストリア、チェコ、

イタリア北部を中心に存在していた国家)に属していました。




アルザス語もドイツ語の方言の一つです。

ほとんどの住民はアルザス語とフランス語のバイリンガルで、

道行く人のおしゃべりでドイツ語に似た言葉が話されていることが多々あります。

食べ物も呼び方が異なるだけでドイツ料理にそっくり。

ストラスブールやコルマールに代表されるアルザス地方は

フランスなのに実にドイツ的です。

 

彼らのモットーは「ドイツ人のように働き、フランス人のように人生を楽しむ」のだとか。


(青木)

 

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2015年

7月

17日

夏到来、「ヒッツェフライHitzefrei!」

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ドイツでは7月に入ってからここ数日、多くの学校が「高温回避学級閉鎖」を行っています。

午前10時に吸気となる空気が影で25度以上あったら4時間目以降は休校となる制度です。


ヨーロッパ人の平均体温は約37度。

肌寒い季節にも半袖短パンで無理する様子もない一方で、暑さには弱いのです。


死亡原因も循環器系の病気が第一位を占めており、

ドイツ人は体の調子が悪いとよく「循環器の問題」を挙げますが、

心臓など循環器系に負担のかかる暑さは本当に大変なのかもしれません。


(青木)

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2015年

6月

26日

カッセル/ウィルヘルムスヘーエの噴水ショー

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2013年にユネスコ世界文化遺産に登録されたウィルヘルムスヘーエ

噴水ショーは約300年前の水路・噴水設備です。



貯水池で貯めた水が水曜・日曜の14:30になるとサイレンの音とともに流れ始めます。

 

ビジターは約15分の時間差で計5つの見どころへと森の中を徒歩で移動し、

ファイナルは50mにまで吹き上がる大噴水。

(森が切れたところの白い点が噴水の位置、15:45)

 

無料なこともあって毎回混雑しますが、

それでもドイツに来たなら一度は見ておきたいところ。

森の中でありながらショーの間は驚くほど多くの人がおり、

標識も分かりやすいので安心です。

 

(青木)

 

             段上のカスケードを水が駆け下ってくる

                    大噴水の様子

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2015年

6月

19日

各国で異なるユーロ硬貨の片面のデザイン

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)

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ユーロ硬貨の片面は国ごとに違い、発行国で自由にデザインを決めることができます。

発行国は毎年独自に記念硬貨を発行することもできます。

記念硬貨の額面は2ユーロ(約278円)のみ。

発行数が制限されているのでコレクターにとっては魅力です。

硬貨を収集するためのアルバムもあります。


バイエルン州に行くとノイシュヴァンシュタイン城をモチーフにした

2ユーロ硬貨が3.5ユーロ(約487円)で売られており、

市中にあまり出回っていないモナコ、サンマリノ、バチカン3か国の硬貨は

ネットで約8ユーロ(約1,112円)から取引されています。

ユーロ圏に行ったら受け取った硬貨をよく見てみてください。


(青木)


※1ユーロ139円で計算(2015/6/17付)


ドイツ記念硬貨コレクションアルバム

ユーロコレクションアルバム(ユーロ各国)


ノイシュヴァンシュタイン城

※Neuschwanstein Castleサイトより

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2015年

5月

29日

モーゼルワイン産地の珠玉、ベルンカステール

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ドイツワインの二大産地と言えば、モーゼル川流域とライン川に沿ったラインガウ地域。

蛇行が激しいモーゼル川流域はブドウ畑の傾斜がきつく、

大きな畑を一面で取るのが難しく、品質を安定させるのが難しい地域です。

それゆえにフランスのワイン産地ボルドーと比較されます。

モーゼル川流域は村から村へサイクリングロードがとてもよく整備されているので、

この土地の醍醐味を十分に味わうには自転車がお勧めです。


この地域は気に入った町で足を留めながらゆっくりと楽しみましょう。

モーゼル川沿いの町の中でもベルンカステールは

ワイン好きならぜひ訪れておきたい町です。

小さな路地に木組み家屋の並ぶ街並みは一見の価値あり。

有名なドクトル畑をはじめとするブドウ畑が町を囲むように急斜面に並んでいます。


(青木)


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2015年

5月

15日

史上最長のドイツ鉄道ストライキが始まる

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ドイツ鉄道の運転士労組のストは過去10カ月で8回目になりますが、

5月5日から史上最長のストライキに突入しました。

10日午前9時まで続く予定とあって、通学・通勤に大きな影響が出ています。

実際には約3分の1は運行されていますが、

通常ダイヤとは異なり移動時間を予想するのが困難なので、

GW中に個人旅行で来ている方には本当に残念な話です。


度重なるストの影響もあり、ここ数年ドイツでは遠距離バスがシェアを伸ばしています。

乗る時間帯によっては電車に比べて70%も安く移動できたり、

変更やキャンセルの場合もクーポン券で全額払い戻されるのが魅力です。


これを機会にバスでの移動に挑戦してみてはいかがでしょう。

大手の遠距離バス会社MeinFernbusは車内にトイレもありWIFIも使えるとあって、

数時間ですむ移動なら値段・快適さ・速さの点からお薦めです。


(青木)


http://meinfernbus.de/en (英語)

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