書き直しが難しいドイツの試験

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

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ドイツの学校でも期末や数週間の休暇に近づくと試験があります。

 

日本では答案用紙に鉛筆で書きますが、ドイツでは万年筆やボールペンを使います。

書き損じた時には、取り消し線を引いたり、

インクを消すためのペンであるインクキラーを使います。

しかし、そのペンもキラーの名前の通り一回しか消す事はできません。

消した後は専用ペンで上書きし、その後でさらに修正したくなったら、

もはや取り消し線しか修正する方法は残されていないのです。

 

文章を書くときに言い回しや順番を変えたくなることはよくありますが、

書き直し自由かつ消し放題の鉛筆消しゴム文化で育った私などは、

一発勝負で文章を書くのはとても困難に思えます。

 

しかし、それもまた教育と訓練の賜物と言うべきか、

ドイツの子供たちは幼い頃から学校で慣れてきた方法に準じ、

大変だとぼやきつつも、論文形式の解答を求めることが多いドイツの試験で

数ページにも及ぶ文章を書き上げていきます。

それはすなわち書くことが整理されて起承転結がある程度できていないと難しい技です。

 

逆に整理して書き始めないと、量ばかり多くて支離滅裂、

質問や課題を無視して書きなぐるうちに時間切れ、という悲しい結末になります。

「課題にかすりでもしたら点数をあげたかったが‥」と教師がこぼすのを聞くと、

書く方も大変なら、それを採点する教師も大変だと思わずにはいられません。

 

いずれにしても、主旨のよく分からない文章を理解・整理して点数に変えていくという点では

ドイツの教師の能力は相当に鍛えられていることでしょう。

それは、機械的に作業ができず、1枚1枚の解答用紙に

向き合うことが求められるということでもあり、

論文形式の多さは個々は違うという前提に裏付けられた

ドイツを表しているような気もします。

 

ドイツ人は投げかけられた質問が相当おかしなものでも真面目に向き合い、

それなりに的に当たらずとも遠からずという回答を返してくる印象があります。

もしかしたら、それも消せない文字教育の成果の一つなのかもしれません。

 

Y.A

 

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