エアフルト:「青い金」の集積地

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

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エアフルトはドイツの中央部にあるテューリンゲン州の州都で人口は約21万人です。

 

地理的にヨーロッパにおける交通の要所となっただけでなく、青色染色の原料となる植物大青(タイセイ)の栽培に土壌や気候が適していたことから古くから青色染色が盛んでした。

 

大青は菜の花に似た植物で花は黄色ですが、青い色素を生み出します。かつては葉をすってペースト状のボールにまとめ、発酵させて使っていました。

染料業者は発酵にアルカリ溶液を使うと色が濃くなることから人の尿を使っており、市中だけでなく周囲にも相当な臭いが漂っていたと考えられます。

それは、エアフルト大学に在席し、後に宗教改革で知られることになるマルティン・ルターが、「エアフルトはまず臭い、それから見えてくる」と評していることからもうかがえます。

そのような物言いに対し、かつての大青商人たちはかつてのローマ皇帝ウェスパシアヌスのように「金は臭わない」と言い放ったことでしょう。

 

一方、ドイツ語で「青をつくるBlaumachen」という言葉は「何もしない」ことを意味していますが、一説によれば、これは作業をする人が大青の発酵汁を染みこませた布が空気に触れて酸化による色素変化で青色に変わるのを他に何もせずに待っていたことからきた言い回しだといいます。

また、アルコールが残っている尿はさらに発酵を加速させるということで、アフルトには酔っ払いの尿を買い取ってくれるビール醸造業者もいたそうです。

 

インディゴに代表される安い染料が外国から入るようになるとエアフルトの染料・染色業は衰退していき、今では郊外にわずか1軒の工房があるのみとはいえ、第二次世界大戦の戦禍を免れた旧市街にはかつて「青い金」と呼ばれた青色染色で財を成した商人たちの立派な家が並んでいます。

 

エアフルトだけでも、マリア大聖堂、セヴェリ教会、クレーマー橋と見どころはたくさんありますが、西30kmにはルターが匿われて聖書を訳したヴァルトブルク城(ユネスコ世界遺産)がありヨハン・セバスチャン・バッハが生まれたの町でもあるアイゼナッハ、東20kmには古典主義の都ヴァイマール(ユネスコ世界遺産)もあるため、エアフルト周辺はお得なチューリンゲンカードで回るのがおすすめです。

 

https://www.visit-thuringia.com/travel-hotel-holiday-tour/index.html

 

(Y.A)

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