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フランス人がバゲットに注ぐ揺るぎない愛

フランスのバゲットはどこでもドイツよりも美味しいとおもいました。

最初はスーパーで2本ずつ買っていましたが、朝夕1本ずつの方がハズレた時のリスクが回避できます。毎日繰り返せば、「今日のは外は良いんだけど、中が詰まりすぎだよね」と専門家よろしく批評できるようになってきます。定住していたならきっと推しベーカリーもできたことでしょう。

スーパーでも、オーブンが置かれその場で焼いているところが多くあります。バゲットの棚にはメーカーや配合やシリアル入りなど様々なものが並び、最初はどれにしたものか真剣に悩みました。単なるバゲットでも値段は40 セント~1.30 ユーロぐらいと差があります。しかも、どれも我こそは美味しいバゲットという顔をしています。

 

キャンプ地・フランスに入って2週間が経過し、バゲット選びを失敗しない最大のポイントは値段も種類も超えて「焼きたて」であることは薄々感じていました。ちなみに「伝統的バケット」は小麦粉・水・塩・イーストのみで、冷凍せず、店内で焼かれたものです。ゆえに、焼きたてのものがなければ伝統的バケットを選ぶようにしよう、そうすればバゲット選びにかかる異様に長い時間を短縮できると自分なりのルールを決めました。

そして、ちようど焼きあがったと思われれるバゲットを掴み、大仕事を終えた心持ちでほっと一息顔を上げた瞬間、フランス人がにこやかに微笑んで、何か言ってきました。フランス語が分からない私には、「そうそう、その儀式は確かに重要。それが分かったらフランスについて少しは分かるようになったということね。」と言われたように思えました。

 

日曜日も時間を短縮してベーカリーは朝から開いています。労働組合がドイツよりも強いキリスト教の国でありながら、「焼きたてバゲットのためなら仕方がない」と全国民一致の理解があるということなのでしょう。

では近くにベーカリーがない人はどうすればいいのでしょう。フランス人にとって命の水である焼きたてバゲットを食べられない日があるとは考えられません。実はそういった所で発見したのがバゲット自動販売機です。ノルマンディーやブルターニュの田舎を走っていた時にあららこちらで見かけました。しかも、冷凍ではなく、地元のベーカリーの生地を使うとあって、工場で大量生産されるものと同じレベルと思ってもらっては困るというこだわりぶり。ある程度の早さが要求されるので、78割焼成しておいて、最後に数分で温め焼きあげます。値段は1ユーロ前後、かかる時間は2~5分。オーナーさんはアプリでこの自動販売機を管理していて、生地に賞味期限がきたり品切れになったりすると分かるようになっているのだそうです。都市部にはすでに焼いてあって温めるだけで1 分のものもあるそうですが、いずれにしても、「焼きたて」にかける執念とも思えるこだわりをよく理解することができました。滞在したキャンプ場でも週末の朝に焼きたてバゲットを売る車がやってきました。せっかく売りにきたのだし、様子を見るためにも買った方がいいと思って、車に走りましたが、バゲットレベル的にはやや低め。それでも「焼きたて」はやはり美味しいのです。

 

ドイツもそうですが、パン職人とケーキ職人は資格が異なるため、両方の資格を持っているか、持っている人がいないとケーキもバゲットも売るということはできません。

あくまで私の個人的な感想ですが、田舎でケーキを前面に押し出しているお店のバゲットはいまいちである確率が高く、パン一本槍で戦うベーカリーのパンにはハズレが極めて少ないと感じました。

 

ちなみに、フランス人はバゲットが折れるとかなリテンションが下がり、バゲットを落とすと家族会議級の問題になると聞いたことがあります。フランス人のバゲットにかける揺ぎ無い愛情は、それは日本人の水や米に対するこだわりに似ている気がしました。

(Y.A)

 

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