エジプトのピラミッドよりも遥かに古い歴史を持つカルナック列石をご存じでしょうか。今年ユネスコ世界遺産に登録されたものは26件で(世界には計1248件の登録遺産があります)、その一つがフランス北西部、ブルターニュ地方モルビアン県のカルナックにある巨石遺構「カルナック列石」です。
実は30年も前からの暫定遺産だったものが今年ようやく登録されたというもの。
巨石群というとストーンヘンジが浮かびますが、ストーンヘンジは全部で約80個、直径30m程度の円形に立てられて、天体装置として使われたのではないかという説が有力です。
200キロもの遠方から運ばれてきていて、ほぞ穴を使って組み立てるなど完成度が高いというのも特徴です。
一方の「カルナック列石」は、紀元前5000年から3000年前の巨石が大小4000個以上、4キロに渡って大きく3つの群を作り、その中で列をつくって並んでいます。
大きいものは6メートル、小さいものは50センチ程度です。
当時の人たちがどれだけの時間と労力をかけてここに石を並べていったのか、何が彼らを駆り立てていたのかは想像もつきません。
立てられた理由に定説はないものの、古墳などが近辺にあるために埋葬儀式あるいは宗教的な用途のために作られたという説があります。
地域の伝説では裕福な人が亡くなれば大きい石、貧しい人なら小さな石を立てたのだそうです。
あるいは、宗教が生まれる以前、腐らず動かず何世代も残る巨石は人の力を超えた永遠の象徴であり、時間を信仰対象とした最初の信仰の形だったというのも一説です。
いずれにしても、延々と続く巨大な列石を目の前にして、人の力を超えた不思議なものを見たという感覚にとらわれました。
この石を立てた人たちは、この前に集まって、太陽が昇って沈むことや季節の移り変わり、人の命が限られていることなどで時間というものを確認していたのかもしれません。
今から2000年後の人たちもこの巨石を見て似たようなことを感じるのでしょうか。それは人間が昔も今も根本的には変わらない、変われないということに繋がる気がします。
車でこの辺りを通っていた時、庭の中に列石がある家屋がいくつか見かけました。
ユネスコ世界遺産に登録されると、この地域も注目されるようになり、庭に列石のある家の画像もしばらくは拡散されるかもしれません。しかし、それもまた過ぎゆく時間の中で洗い流され、記憶されずに彼方へ消えていくことでしょう。
(Y.A)