バタンとドアが閉まったその瞬間にドキリ…

ドイツのドアは大抵、外側にはドアノブがなかったり、ドアノブがあっても回らなかったり、一度閉まると、オートロックのように外側からは鍵が無いと開けられません。オートロックのイメージに合わない古い建物でも、扉は鍵がなければ外からは開かないようにできています。

 

何年もドイツに住んでいれば、ドアが閉まる音がした途端に「鍵は持っていたっけ?!」とヒヤッとしたり、何時間も締め出されたりした人の話を聞くことはあるはずです。そのため、用心深い人の多くは隣人に鍵を預けていたり、自分や家族だけが分かるところにスペアキーを隠していたりします。しかし、一人暮らしを始めたばかりの人で、そのような知恵を伝授されることもなかった人は、まま締め出されてしまうことがあるのです。

 

携帯も財布も家の中にあるような場合、一体どうするのか…。まずは隣人などに頼んで緊急鍵業者を探すのを手伝ってもらったりします。ドイツ人は全般的に自らが共感できる事態に直面した時に親切なので、恐らくは親身になって助けてくれます。冬場であれば鍵業者がやってくる間、寒い廊下で待つことになるかもしれませんが、「まずはお茶でも飲みながら待ちましょうよ」とお隣さんが椅子をすすめてくれることも考えれます。

 

一方、鍵業者は、場所や人によって相場は変わるものの、例えばバーデン=ヴュルテンベルク州では、日中の営業日には平均80.84ユーロ(約12600円)、夜間と日曜・祝日には148.93ユーロ(約23500円)です。自宅から締め出されただけでも十分惨めなのに、費用も結構かかります。

一方、運よく携帯が手元にあるのであれば、まずは鍵のタイプを確認し、クレジットカードや針金で開けられないかをネットで検索してみましょう。携帯とネットが普及した今の時代だからこそ可能な技です。すると、古いタイプの扉は意外に簡単に開けられたりすることが分かります。先日締め出されて焦った日本人の学生さんから電話がかかってきたので、開け方を調べてYou Tube動画をお送りしたら、無事に自力で開錠できて、飛び上がらんばかりに喜んでいました。「今度は鍵を隠しておきます!」と言うのを聞きながら、良い時代でもあり怖い時代でもあると思いました。

(Y・A)

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