新型コロナウイルスに関わるドイツと日本で感じる温度差

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)
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今回の新型コロナウィルス蔓延に伴い、

最初に日本とドイツの温度差を感じたのはマスクについてでした。

 

ドイツでは一般人がマスクをする習慣はありません。

(花粉症はありますが、一般的にマスクはつけません)

マスクをするのは医療従事者か、

自分が他人に伝染させる可能性のある病気にかかっている場合で、

マスクをするほど具合が悪いのなら家で寝ていろと言われます。

マスクをするなという広告も出ていたほど、マスクは一般的ではありません。

 

特に1月末に中国で爆発的な感染が分かってからは、

アジア人と見ると子供が悪ふざけで「コロナ!」と路上で声をかけてきたり、

学校でアジア系の子供が「コロナ!」と呼ばれたりということはありました。

(学校で早急にそのような行為をやめるよう厳重な通達を出したため急速に収まりました)

いずれにしてもマスクは目立つので、

マスクに慣れている日本人も着用を避けていたと言えるでしょう。

 

一方、マスクをした人を見かけないにも関わらず、ある時期マスクが店頭から消えました。

真偽は定かではありませんが、それはアジア人が買い占めたからだとも言われています。


ところが、日本に来てみると、空港から乗った電車の乗客は8〜9割がマスクをしており、

マスクをしていない方がむしろ目立ちます。

 

しかし、マスクを買おうにも店頭にはありません。

人口密度の高い日本の大都市では、

他人に伝染させたくない自分の姿勢を示すためのマナーとも理解できるので、

ハンカチでマスクを作って装着していました。

フィルターもなく隙間も空いていて防御という点ではナンセンスですが、

自分が陽性者であった場合に飛散を防ぐという点ではある程度有効です。

 

アベノマスクと揶揄されているマスク配布については賛否両論ありますが、

誰もがマスクを作れる訳でもないので、

画期的ではないものの一定の効果はあるだろうと思います。

増産されたり輸入されるフィルターの入った効果の高いマスクは、

まずは最前線で働く医療従事者の皆様に最優先で行き渡るようにして欲しいと願っています。

 

また、温度差で言えば、医療従事者に対する一般の方々の姿勢の違いも衝撃的でした。

日本では医療従事者やその家族に対していやがらせが一部で起こっており、いやがらせをやめようと広告が打たれていました。社会を守る砦を自ら壊すような行為であることが分からない人が多いということなのかとぞっとしました。

 

欧州では医療従事者に感謝の気持ちだけでも伝えようという傾向が強まっていることもあり、

医療従事者に対する反応には大きな隔たりを感じます。

いやがらせが顕在化するということは、

自分が感染しなければそれでよいという姿と、

それを止めることができない周囲の弱さが映し出されています。

 

今回のように大人も関わる差別の話を聞くと、

日本は先進国と自負しつつ、社会としては未熟なのかもしれないと悲しくなります。

医療従事者は現状、社会を守るために最前線で戦っている方々です。

それを心身ともにサポートするという姿勢を個々人が持つこと、

自身の欲をコントロールし、他人を思いやり、全体を考えること。

陳腐に聞こえるかも知れませんが、

より多くの人が暮らしやすい社会に一歩でも近づくために、

個人レベルでできることを口先ではなく意識的に実行する必要があります。

 
SNSの普及によって世界は同じ情報をリアルタイムで共有できるようになりました。

新型コロナウイルスの収束にはまだ時間がかかり、

人類は今後も犠牲を払い続けることになります。

最終的には膨大な数に及ぶであろう犠牲を無駄にしないためにも、

国々が人類として手を結んで助け合い、

相互に多くのことを学ばなければいけないと思います。

 

(Y.A)

 

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