ハグという習慣について

ドイツに住み始めた頃、親しくなった人が挨拶としてハグや頬にキスしてくるのが、

男女を問わずとても苦手でした。

 

顔の方向がずれて、したくもないのにキスしてしまったらと思うと緊張が走り、

顔を見た時から心は警戒態勢。

 

握手もまたタイミングが分かりません。

ドイツではふわっと優しく握るのは気持ち悪がられることが多いらしく、

これまた男女を問わず力強く握ってくること、力関係を決める試合のごとし。

会うやいなや気分で敗けてしまいます。

 

会釈で済めばどんなに楽かと、接触の多いこういった面倒な習慣を嫌い、

上手くこなしている日本人を不思議な気持ちで見ていました。

 

しかし、郷に入っては郷に従えで、習慣は次第に身につくものです。

欧州に住むこと早20年近く、今や日本の友人や家族と別れる際には、

私ももはやハグをせずにはいられなくなってしまいました。

 

次に会う時まで元気でいて欲しいと思う気持ちは、

もはや笑顔で手を振るぐらいでは伝えきれず表しきれません。

 

日本の公共の場で私からハグを求められる友人たちは、

一瞬の躊躇いを見せながらも応じてくれます。

外国人かぶれの困った友人と思われているかもしれませんが…。

 

一方で、人には年齢に関係なく、子供の時のように撫でたり抱いたり揺すってもらうことで

生まれる安心感や幸福感があると思うようにもなりました。

 

皆様もよかったら近くの親しい人で(相互の了解のもと)試してみて下さいね。

 

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